高いと思われている介護施設の離職率、実は低いって本当?

介護施設に身をおいていると、自分と同期で入職したスタッフが半年以内に辞めたり、自分より後に入ってきた職員が自分より先に辞めていったりという経験をするからなのか、離職率は高いと信じている人が多いようです。ところが、実際の介護職の離職率は一般企業に比べて低めなのだとか。とはいえ、離職しているスタッフが多いこともまた事実。

今回は、離職率が低いことで有名な無印良品を例に、介護施設でさらに離職率を下げていくにはどうすればいいかを考えてみました。

介護職者の離職率とその理由

まず最初に、離職率について見てみましょう。次に、離職率が高いイメージについても考えてみます。

医療、福祉の離職率は14.7%

厚生労働省の雇用動向調査によると、福祉や医療職に従事している者の2015年の離職率は都道府県で平均して14.7%とされています。宿泊業やサービス業は28.6%、生活関連サービス業や娯楽業では21.5%など、人と関わる仕事の離職率は概ね20%台となるため、そのなかでは福祉、医療関係は低い部類に入るといえるでしょう。

介護職の離職率のイメージと実態

実は、介護職には離職率がもっと高かった時代がありました。それが、離職率が高いというイメージを生み出しているようです。

今日では介護職の離職率は低いほうに入るようです。ただし、現在は介護職者の人数が増加中であることや、退職してもまたすぐに再就職して介護の分野に戻ってくる人が多いことから、離職するスタッフの数の多い少ないだけでは計れないため、結果的に離職率が低く出ている面があります。また、離職率は全施設の統計をとっています。つまり施設のなかには職員の定着率のよい施設があるため、全体の施設の平均をとると離職率が他の業種より低いという結果になります。

統計上、離職率が低くなっている理由には、介護職ならではの特性があるようですが、介護職は離職率が高いというイメージが必ずしも正しくないのが実態のようです。

無印良品に離職率の低さを学ぼう

日本発の日常生活用品を販売する無印良品。実は、無印良品の近年の離職率は5%と、生活関連サービス業のなかでも最も低い数字をたたき出しています。なぜ離職率がそんなに低いのでしょうか? 無印良品という会社の特徴のなかから、その秘密を見てみましょう。

2013年に発売されベストセラーとなった「無印良品の、人の育て方」という良品計画会長の著書によると、人材育成に関して次の2点が目を惹きます。

  1. あえて社員を逆境におく
  2. 新卒採用よりも内部採用が多い

介護現場への応用

それでは、これらの特徴を、介護現場に応用して考えてみましょう。

  1. あえて難しい仕事も積極的にやらせ、自分で考えさせてみる
     

    介護の現場は、原理原則が同じであっても、それぞれの施設で細かい決まりごとがあります。

    早く仕事を覚えてほしいからと手取り足取り教えたり、簡単に対応できる利用者さんばかりを担当させていたりしていませんか? これでは簡単な仕事だけに慣れてしまい、何かトラブルがあったときにすぐに辞めてしまう結果につながります。

    あえて対応が難しい利用者さん、ケアが難しい利用者さんの担当につけて、どうすればいいのか自分で考えさせるようにしましょう。

    もしここで耐えられず辞めるなら、その社員は遅かれ早かれいつか辞める人材だったということで割り切りましょう。無印良品では、早期離職を防ぐためにあえて社員を逆境におきます。そうすることにより、自分で問題を解決する能力が身につき、多少のミスでは離職しない、強い心を育てています。このやり方を介護現場に応用することで長期的に働く優秀な人材を育てることができるのではないでしょうか。

  2. 外へ募集をかけるより、パート職員を活用しよう
     

    介護施設で多いのが、一人辞めたらすぐに一人の求人をかけるということ。

    しかし、雇った一人を教え込むために何人もの人材が割かれ、その教え込んだ人材がすぐに辞めて、また新たに一人雇ったところで同じことを繰り返すとなれば、時間と労力の無駄となります。

    そこで、無印良品にならって、パート職員へ目を向けてみてはどうでしょう。パート職員は、社員同様に一生懸命働き、かつ優秀な人材も多くいます。本人の希望を取り入れつつ、社員へキャリアパスを提示すると、モチベーションもあがり、長期的に働いてくれる可能性がぐんと高くなるでしょう。

介護職の離職率を下げるために、できることからすぐやろう!

一般企業より離職率が低い介護職。また、介護職のスタッフは施設を退職しても、また別の施設で働くことが多く、別の職種へ転職することはほとんど無いというデータもあります。

施設の運営にとって、スタッフの離職は頭の痛い問題です。今後さらに離職率を下げ、優秀なスタッフに長く働いてもらうためには、そのための行動を起こさねばなりません。無印良品の人材育成方法を、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

 


参考:

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