介護記録の電子化は業務改善の手段。利用者と職員双方の満足度を高める介護業務記録システムとは?

ナースコールメーカーの「アイホン」が介護業務記録システム「Notener(ノートナー)」を開発しました。開発に当たっては、徹底した現地調査を実施したそうです。その結果、介護記録の電子化が、現場の業務改善に向けての課題であると認識。シンプルさと使いやすさを重視して開発されたこのシステムには、介護現場の声が活かされています。


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徹底した現地調査によって導き出した課題。介護記録の電子化の必要性

---最初に、開発のきっかけについて伺いたいと思います。

ナースコールの営業を通じて介護施設とは付き合いがありました。その中で、あるパートナーから介護職員の業務改善につながる商品開発ができないかという相談を受けたことがきっかけです。

介護の現場では、「介護記録」がとても重要で、多くの施設では職員が手書きをしています。この業務に時間がとられるため、本来なら利用者に寄り添っていたいけれども時間がなくてできないという職員にとってのジレンマがありました。

こうした問題を解消できる商品を開発するために、100カ所以上の介護施設を訪問して、介護職員の業務改善につながる機能や利用方法についてリサーチを続けてきました。その結果、介護記録の電子化が喫緊の課題だということに気付きました。

アイホンの主力商品であるナースコールは、患者や利用者が押すと職員がすぐにベッドサイドにやってくるものですが、当社はこのナースコールの呼出履歴を使った患者や利用者のアセスメントに取り組んでいます。

具体的に、この利用者は何時にナースコールを押すことが多いのか、その回数に傾向はあるのか、そうした分析ができるICTシステムを提供しています。介護施設で働く職員にとって、通常業務をしながら、ナースコールに対応するのは忙しさに直結するので、その内容をつぶさに検討するための見える化にも取り組んできました。

こうした業務改善の役に立ちたいとの想いから、介護業務記録システム「Notener(ノートナー)」が生まれたのです。

 

---介護の現場調査ではどのようなことが印象的でしたか。

介護施設で職員のみなさんとお話ししていると、介護の仕事に誇りを持っていることがわかりました。一方で、アンケート調査からは、さまざまな課題が浮き彫りになってきました。例えば、職場環境の問題があったり、多忙な割に業務の効率化が進まないといった問題があったり、介護の現場において職員の方々は実に多くの問題と向き合っていることがわかりました。そのような中、「利用者様の笑顔を見たいのです」と、無理をしてでも利用者様のことを最優先に考え、高いモチベーションで介護をしていることには驚かされます。

介護は人と人とが向き合う仕事です。職員は少しでも長い時間利用者に寄り添っていたいと考えています。けれども、介護記録の業務に時間をとられてしまうという悩みもあります。たしかに、介護記録は実施した業務を裏付ける重要なものです。しかし、その記入に多くの時間がかかることによって利用者に寄り添える時間が短くなってしまうようでは、本末転倒です。

そこで当社では、ICTを活用して短時間で効率よく、適切な介護記録を作成することをご提案しています。この取り組みによって、介護の質向上と業務改善を同時に達成することが期待できます。

interview-C_10186009487_R.jpgシンプルに使いやすく。入力の手間の改善による業務改善

---ノートナーの開発では、入力しやすさにこだわったそうですね。

ノートナーを開発している時、介護職員のみなさんからは「操作が難しそうだね」「このサイズだと現場で邪魔になりそう」といったご意見をいただいていました。それが、試作機が完成してタブレットを操作してもらうと「簡単そうだね」「画面が大きくて見やすいね」という感想に変わってきました。選択肢から選んだり設定した定型文を利用したりすることによって、手書きよりも短時間で入力することができるからでしょう。

こうした介護記録を電子化する商品を設計する際は、過剰な機能にしてしまいがちです。しかし、あれもこれもといった高機能なシステムは、一見便利ですが、実際に現場で使いこなすためのハードルは高くなってしまいます。施設長など管理職の方が導入に積極的でも、現場がシステムを使いこなせずに終わってしまう事例が多くあります。

そこで、当社のノートナーはシンプルな設計にこだわりました。使うかどうかわからない専門的な機能は省き、簡単入力と電子化した記録の活用をテーマにしました。

 

---現在はノートナーを使った業務改善の提案を行っていますね。

介護の現場に出向いてノートナーの機能を説明したり、業務改善の提案をしたりしています。

ノートナーの開発における調査を通じて、どの介護現場でも「転記」という無駄な業務が多いことに気付きました。手書きの介護記録だと、個別のファイルやヒヤリハット報告など、同じ内容をいくつもの帳票に記録しなくてはならないのです。この無駄な業務は電子化によって改善することができます。

電子化した介護記録であれば、タブレットを使ってご家族に利用者の様子をお話しすることができます。ケアプランの見直しに活用することも容易です。このように電子化によって得られるメリットを、業務改善としてご提案しています。

管理職の方は、すでに手書きの介護記録が非効率であることに気が付いています。その一方で、電子化した時に職員が使いこなせるだろうかといった心配もあります。

タブレットやスマホなどを利用する介護業務記録システムを導入したけれど、現場では使ってもらえなかったケースを調べると「機能が複雑で難しすぎた」「メーカーのフォローがなく、現場の職員が操作方法を覚えることができなかった」といった声が聞こえてきました。

介護の業務改善事例については、こちらでも紹介しています。
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interview-D_10142001074_R.jpg介護記録の電子化がゴールではない。どう使いこなすかが大切

---ノートナーを導入する時、介護施設で業務改善グループワークや導入研修を実施するそうですね。

介護記録の電子化には多くの可能性があり、飛躍的な業務改善が期待できますが、それも職員のみなさんに使いこなしていただけることが大前提です。本部が導入を決めたから使うというネガティブな考えではいけません。使ってみたら業務改善した、良い介護ができるようになった、という実感を得られることが大切です。

そのためには、介護業務記録システムとタブレットを好きになってもらうことが重要です。そこで、導入に向けた研修を行います。まずタブレットの使い方に慣れていただきます。すべての職員が使えなければ導入する価値が薄れてしまうので、この導入研修には多くの時間を割いています。

業務改善グループワークを通じては、介護業務の課題や職員の悩みについてお聞きします。そして明らかになった課題を解消するためには、ノートナーをどのように使えばいいのかをご提案しています。

介護記録の電子化は、タブレットを導入しただけでは意味がありません。ノートナーをきっかけに、このツールを使って業務改善という目標達成を目指していただきたいのです。

業務改善グループワークや導入研修は目的に達するまで複数回実施します。主任クラスの職員向けであったり、全職員を対象としたりなど、どのような業務改善を目指すかによって、研修方法や回数も違ってきます。

 

---現場の職員が使いこなすために取り組めることはありますか。

ノートナー導入前にグループワークを実施するのですが、生活相談員、理学療法士、介護職員など、多職種の方々に参加してもらいます。そして、介護記録を残す目的を確認したうえで、何をどのように記入していくのかといったルールを決めていくことをおすすめしています。

情報を共有する際、介護記録の質を一定にすることが大切です。複数の職員が入力しても、職員ごとに記録の内容や書き方にバラツキがあると、記録された情報を比較検討することができません。

「夕食をしっかり食べました」「トイレに行きました」ではなく、「夕食は米飯完食、サラダのみ半量残す」「トイレで排尿。少量だった」など、定性的、定量的な書き方ができると情報を活用しやすくなります。

例えば、食事水分摂取量の変化と食事・排泄記録を見比べることにより、因果関係を明確に把握することが期待できます。また、排尿の時間が規則的であることがわかると、先回りして排泄介助を行うことができるため、職員の負担が軽減されたり、オムツやパッドの節約も可能になります。

ノートナーの機能によって、情報の質を安定させることができます。ある項目では「あり/なし」ではなく、「数値選択」で入力するように設計しました。また定型文を活用することで特記事項の質も平準化できます。この定型文の内容は施設ごとに設定可能です。

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分析、共有。介護記録の電子化によって広がるメリット

---介護記録を活用しやすくするために、工夫したことはありますか。

ノートナーを導入する際、記録した内容の応用が重要なテーマとなります。ノートナーは、介護報酬請求のエビデンス管理を電子化によって大幅に効率化したり、利用者の状態変化を表やグラフにして分析したりすることができます。

このことにより、多職種の方々が利用者の情報を共有しやすくなります。居室や訓練室などで気になることがあっても、いちいち個別の紙ファイルを探すことなく、タブレットを操作して介護記録や利用者の最近の状況を確認することができます。

介護記録は逐次入力がもっとも効率的です。当社の調査によると、介護施設のパソコンを使ってテンプレート入力するのがもっとも作業時間が長く、その次に長かったのは手書きのメモをパソコンに入力する作業でした。どちらも後からまとめて入力する方法です。

こうした時間を短縮するには、タブレットを介護の現場に持ち込んで、都度入力する方式が最適です。その入力が負担にならないように、ノートナーでは簡単な入力方法となっています。

具体的には、基本画面の片側に利用者ごとの一日のスケジュールが表示されており、そこに実施の有無をチェックし、介護内容を選択入力していきます。入力時間は数秒なので、介護業務を中断することはありません。

入力した記録は、必要な箇所へ転記するように指定できます。そのためステーションに戻ってから書き直したり、書き写したりするような重複した作業を大幅に減らすことができます。

介護現場の業務改善、その先にある利用者の笑顔のために---介護記録の電子化で職員と利用者の満足度が高まりますね。

介護記録の電子化によって成功事例を他の職員と共有しやすくなることにも期待しています。例えば、「こういう介護をした利用者様に笑顔が増えました」といった記録も、職場全体では介護の質を向上させる大切な情報です。情報を電子化して共有することが当たり前になれば、こういうポジティブな情報が職場に広がり、介護現場と利用者の笑顔につながっていきます。

介護記録が単なる報告書になっていませんか。そうではなく、あしたの介護へつなげる重要な情報として活用することで、いい介護の実践につなげていただきたいと考えています。

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介護の業務改善事例については、こちらでも紹介しています。
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