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介護現場で起こるバーンアウトとは? 心理的安全性を確保して孤立させない新人フォロー
対人業務を主とする介護職は、業務負担だけでなく精神面の負荷も大きく、慢性的なストレス状態に置かれやすいことから、とりわけ新人スタッフは仕事への意欲を失う「バーンアウト」のリスクが高いと指摘されています。バーンアウトに陥ってしまうと、仕事に対する意欲が低下して自信を失い、休職や離職につながるケースが少なくありません。新人スタッフが早期離職するのを防ぎ、介護現場の離職率を抑えるためには、新人が心理的に安全と感じる職場づくりが重要です。本記事ではそのためのヒントをICT(情報通信技術)の活用も視野に入れてお伝えします。
介護現場で起こりやすいバーンアウトの背景と心理的安全性の確保
介護職は利用者の対応に気を遣う場面が多く、さらに現場の状況に応じて正確かつ迅速な判断が求められる仕事です。しかし、一方で慢性的な人手不足から過重な業務となり、スタッフの精神的なゆとりがないまま働いている現場も少なくありません。中には「良質なサービスを提供したい」という理想と現実のギャップに悩む人もいるでしょう。こうした環境が続くと、「バーンアウト」のリスクが高くなります。
バーンアウトとは具体的にはそれまで仕事や学業に前向きだった人が、心身の過度な疲労で突然燃え尽きたように、意欲を失ってしまう状態を指します。責任感が強く、仕事熱心な人などが発症しやすいといわれています。バーンアウトは燃え尽き症候群とも呼ばれますが、これらは厳密には医学的な病名ではなく、健康状態に影響する要因(症候群)にあたります。このため、実際には症状に応じてうつ病や適応障害といった診断がなされる場合もあります。
バーンアウトを起こしたまま頑張り続けた結果、社会生活を送るのが困難になって離職を余儀なくされる人も少なくありません。特に新人スタッフは、経験が浅いために業務に対して過度な緊張を抱えており、自信や意欲を失いやすい場面が多くあるといえるでしょう。したがって、新人の早期離職を防ぐためには、不安なときや判断に迷ったときなどにすぐ相談できる職場の「心理的安全性」を確保することが不可欠です。経験の浅いスタッフを孤立させない、組織的なバックアップ体制が求められます。
介護現場の心理的安全性とは サービスの質の安定化に関係する?

職場における心理的安全性とは、自身の意見や疑問、アイデアなどを率直に述べても、否定や非難、あるいは処罰を受けるおそれがなく、安心して行動できる状態を指します。そして、この意識が組織やチームのメンバー全体で共有されている必要があります。
こうした状態をチーム内に根付かせるためには、例えば「リーダー自身が自身の疑問や迷いも普段から言葉にしていく」「起きた事象について状況を丁寧に共有する」など、日常のやり取りを通じて安心して発言できるという土壌をつくり、信頼関係を築いていくことが求められます。
心理的安全性が確保されている職場では新人が過度な不安を抱え込まず、心理的負荷が軽減され、自主的な成長や定着率の向上にもつながるでしょう。
心理的安全性を高めるという手法で新人が安心して成長していける職場づくりは、利用者に提供する介護の質の安定にも寄与します。
バーンアウトを防ぐ経験量に頼らない新人育成
もちろん、介護現場では新人であってもベテランであっても、利用者への対応の質を安定させなければなりません。しかし、新人スタッフは経験不足から判断に迷ったり、周囲と比べて「自分はできていない」と感じたりする場面が多いのが現実です。そうした思いが積み重なると、失敗に対する不安が強まり、自己効力感や自己肯定感の低下、ひいてはバーンアウトを招くおそれがあります。
だからこそ、施設側には新人が一人で悩みを抱え込まない環境づくりが求められます。まずは相談を受ける側となる管理者が日頃から受容態度を意識することで、経験不足の新人が「受け入れてもらえる」と思えるような雰囲気の醸成を進めます。そのほかにも、メンター制度や複数の相談先を用意し、SOSの出し方を教えたり、全体研修を日頃から行って新人・ベテランを問わずわからないことをそのままにしないという土壌をつくることも大切です。
わからないことを過度に恐れずに質問して小さな成功体験を積み重ねることで新人の自己効力感を守っていく環境は、バーンアウトによる早期離職防止や定着促進のうえで欠かせません。
新人育成を個人の努力や経験値に委ねるのではなく施設全体で支えるという姿勢は、結果としてスタッフ間の連携をスムーズにし、利用者と職員双方にとって大きな価値を持つ取り組みといえるでしょう。
ICTを活用して心理的安全性が確保された職場環境を実現

スタッフ一人ひとりに心の余裕があり、新人も落ち着いて仕事に取り組める介護現場では、良質なサービスを安定的に提供できます。この実現には、スタッフ全員の負担を軽くするICTの活用が欠かせません。
これまで手書きで行っていた記録や記憶に頼っていた申し送りなど日々の記録業務は、介護記録ソフトを導入することで省力化できます。さらに、居室での対応中に疑問が生じてもその場で介護記録やケアプランなどを確認し、利用者の状況を判断したうえでの適切なサービスの提供も可能になります。
*こちらの情報も是非参考にしてください。
介護記録や申し送りなどの情報を一元管理!ムリ・ムダ・ムラ解消と電子化で業務効率化を計る方法とは?
加えて、センサーやカメラなどの見守り機器を導入すれば、心理的・肉体的負担が重いとされる見守り業務の効率化が大幅に図れます。このようにICTの活用で業務を効率化できれば、スタッフに心のゆとりが生まれ、声かけや相談もしやすくなるでしょう。
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*ICTの活用についてはこちらの情報も是非参考にしてください。
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また、居室で判断に迷った際、インカムなどのスタッフ間通話と見守りカメラの映像を併用して相談できれば、落ち着いて適切な対応を行えるでしょう。
電子化したマニュアルやケース記録を手元のスマートフォンで確認したり、他のスタッフに相談したりと、不安を即座に解消できる環境が施設に整えられていることは、経験の浅いスタッフの支えになります。教育(OJT)担当個人に依存するのではなく、ICTという環境を含めたチームによる新人育成の体制をつくることが大切なのです。
ICTの活用による業務の可視化と効率化 スタッフ間の連携が離職を防ぐ
介護現場での離職率の課題に対して、新人スタッフが陥りがちなバーンアウトを引き起こさないようにすることが求められます。利用者の記録業務や施設内の状況把握などをICTの導入で効率化できれば、スタッフ全体にも精神的なゆとりが生まれ、連携もスムーズになります。これにより、新人スタッフの心理的安全性がしっかりと確保され、モチベーションを保ちやすい職場になるでしょう。
ICTは、介護施設運営においてスタッフの主体性や意欲を引き出し継続させるためのインフラとなるのです。

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