介護業務改善
介護における人間の尊厳とは? 「利用者の意思」を日常ケアで守る考え方と実践
そもそも「尊厳とは」? 意味をわかりやすく解説
「人間の尊厳」とは「誰もがひとりの人間として尊重され、誇りを持って自分らしく生きる権利」のことです。介護において日常生活で必要な動作の食事や排泄、入浴などの支援をすることは「安全を守りながら、その人らしい生活を支える」ことですが、その人がこれまで歩んできた人生や価値観、意思、そして人間としてのプライド(自尊心や自分の価値をどう守るか)を尊重しつつケアするのが「尊厳を守る」ことになります。
●「介護保険法」と「介護と尊厳」の関係
要介護状態になったとしても「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」支援すること、そして「尊厳を保持」することは介護保険法第1条(目的)にも明記されています。
介護が必要になっても利用者は支援を受けるだけの「保護対象」ではなく、自らの人生を自分で決定して自分らしく生きる主体である。この考え方が介護をする上で「尊厳を守る」ことの本質です。
介護現場で「利用者の尊厳」を脅かしてしまうNGの例

ただ、介護の現場では悪意がなくても忙しさや慣れによって、無意識に利用者の尊厳を傷つけてしまう場面が発生しがちです。ついやってしまいそうなNGの例をご紹介します。
1. 「言葉の拘束(スピーチロック)」や子ども扱い
「ちょっと待っていて!」「座ってて!」などの声かけは、言葉で利用者の行動を制限・制約する「スピーチロック(言葉の拘束)」にあたります。また、「〇〇ちゃん」「上手にお口あけられたね」といった子ども扱いや、話しかけられても無視するなどの態度は「心理的虐待」に該当し、利用者の自尊心を深く傷つける行為となってしまいます。
立ち上がろうとしたり介助を拒んだりする行動には必ず理由があります。そんな時はそれを「困った行動」と決めつけず、その背景に目を向ける姿勢が必要です。
2. プライバシーや羞恥心への配慮不足
・ドアやカーテンを開けたまま排泄や着替えの介助をする
・ほかの利用者がいる前で「〇〇さん、便が出ましたよ」などと大きな声で話す
・露出度の高い状態のまま移動させる
こうした配慮の欠如は利用者に大きな羞恥心と不快感を与えます。
3. 効率優先(施設・職員本位)のケア
「15時だから全員トイレに行く」「業務が終わらないから、まだ食べたがっている人を急かして片付ける」などのケアは、利用者の生活リズムや意思を無視して職員側の都合やスケジュールを優先した作業だと受け取られるかもしれません。
明日から使える!現場で「介護の尊厳」を守る5つの実践ステップ

利用者の尊厳を守るケアは小さな考え方の見直しから始まります。相手との関わり方を大きく変える基本的な5つのポイントをご紹介します。
①呼称は「〇〇様」「〇〇さん」を基本に
敬意を込めた呼び方を徹底します。ニックネームや愛称で呼ぶことは親しさの表れだと思いがちですが、基本は「〇〇様」「〇〇さん」です。ご本人の希望やこだわりの呼び方がある場合は、それを最優先させてチームで統一します。
②選択肢を示し、自分で決めてもらう
「今日は赤と青、どちらの服を着ますか?」「お茶とジュース、どちらが飲みたいですか?」など、小さなことでも選択肢を提示してご自身で選んでもらう「意思決定」の機会を意識的に作ります。
③プライバシー・個人情報を厳格に守る
服を脱ぎ着する時は必ずカーテンやドアを閉め、必要以上に身体が見えないようプライバシーに配慮します。を最小限にします。また、業務上知り得た個人情報や居室での出来事を関係者以外の前で絶対に口外しない(SNSも含む)ことに対する管理を徹底します。
④権利を持つ「主体」として扱う
利用者は指示や介入の対象ではなく自らの人生を歩んできた一人の人間であり、自らの生活を決める権利を持った「主体」であると考えれば、言葉遣いや態度に敬意が表れます。
⑤画一的なケアにしない(個別性の尊重)
起床・就寝時間、入浴の好み、長年の生活習慣、宗教観などは一人ひとり異なります。「〇〇だからこうする」と決めつけず、その方の生活歴や価値観に寄り添った個別ケアを追求します。
●注意点:自立支援は“何でも自分でしてもらうこと”ではない
尊厳を守って主体性や意思を尊重することは、自立支援の重要な土台ですが、現状とのバランスをとる必要があります。
・自己責任にしない:できないことを無理にやらせて放置すること(突き放す)は、尊厳を守ることでも自立支援でもありません。
・認知機能だけで判断しない:「この人は認知症なので判断能力がない」などと決めつけず、利用者自身の視点から課題の理由を探ることが重要です 。利用者の「やりたい気持ち」を主体に残存機能、現有能力なども含めて評価します。
・残存機能や現有能力を見極める:「一人でできること」「支援があればできること」「支援があっても難しいこと」を見極め、支援が必要な部分だけを適切にサポートすることが、尊厳を守った本当の自立支援です。
排泄・入浴・食事・移動で尊厳を守るための具体策

利用者の尊厳を守るための方法としては、具体的なルールを定めるのが良いかもしれません。どの施設でも今日からすぐ実践できる行動ルールをシーン別にご紹介します。
●「一行為・一声がけ」の徹底
・身体に触れる前は必ず「失礼します」「足を上げますね」などと声をかける
・利用者の同意を得てから動作に入る
●排泄・入浴
・視線を遮る環境(カーテン・ドアの施錠)を必ず整える
・見られることに対する恥ずかしさに配慮し、タオルを羽織らせるなどの工夫を徹底する
●食事・移動・更衣
・利用者の食べる速度や歩幅に合わせてゆったりと対応する
・職員のペースに合わせようとしたり、急かしたりする言動は厳禁
●居室・記録・SNS
・居室に入る際は必ずノックをして反応を待つ
・介護記録やSNS等での情報は、外部へ漏洩しないよう、セキュリティを徹底管理する
意思決定の支援と尊厳を守るケアをチームで続ける仕組みにする
利用者の尊厳や意思決定を守ることは、スタッフ一人一人が心がけるべき分野です。しかし、個人の努力頼みにするのではなくチーム全体で取り組み、継続できる「仕組み」にすることがさらに重要です。そのためにどんなことができるでしょうか。
●認知症があっても「決められない」と判断しない
厚生労働省の「認知症の人に対する等意思決定支援ガイドライン(第2版)」にもあるように、認知症があるからといってすべてを他人が決めて良いわけではありません。
利用者の希望や意思を丁寧にくみ取って本人・家族・医療介護スタッフが繰り返し話し合いながら方針を決定していくというプロセスを大切にする必要があります。特に人生の最終段階(ターミナルケア)においては、ご本人の状態や気持ちの変化に応じて何度でも見直すことが不可欠です。
●身体拘束ゼロへの取り組み(三要件の慎重な確認)
尊厳を考える上で難しい決断を迫られるのが「身体拘束」への対応です。利用者の行動を制限する身体拘束は原則禁止です。万が一、切迫性・非代替性・一時性の「身体拘束ゼロ3要件」をすべて満たし、緊急やむを得ず実施する場合は以下のプロセスを厳守します。
・実施前:単独で判断せずに多職種カンファレンスで3要件を満たすか慎重に検討。本人・家族に目的と期間を丁寧に説明し、同意を得て記録する。
・実施中:開始時刻、状態変化、ケアの内容をこまめに記録。不安や二次的被害(せん妄悪化、拘縮等)に留意し、継続の必要性を常に再評価する。
・解除時:危険性が低下した時点で即座に解除。「念のため」という理由による継続は厳禁。解除後の経過も記録してケアの改善策をチームで共有する。
プライバシーに配慮した見守りも可能 ナースコールシステム Vi-nurse(ビーナース)

利用者の尊厳を守る上では「見守りにおけるプライバシーと安全の両立」も重要です。転倒や無断離床を防ぐという目的のためであったとしても、夜間の訪室を増やしたり常に居室を観察したりすれば利用者のプライバシーを侵害し、利用者に精神的なストレスを与えてしまうことになるでしょう。しかし、かといって見守りを怠れば、重大な事故につながりかねません。
この課題を解決するのがアイホン株式会社のナースコールシステム「Vi-nurse(ビーナース)」です。
●プライバシーに配慮した見守りカメラで「尊厳」と「安全」を両立
Vi-nurseは高画質な見守りカメラシステムや各種見守りセンサーとスムーズに連携できる次世代ナースコールシステムです。
・プライバシーに配慮した映像確認
Vi-nurseでは、居室の見守りカメラで利用者の様子を映像で確認できます。カメラの映像にはモザイクをかけることもでき、利用者のプライバシーに配慮しながら状態を確認できます。さらに、検知前の映像を録画できる「プレ録画」にも対応しており、転倒・転落などが発生した際の状況確認にも活用できます。
・必要な時だけ「映像」で確認し、不要な訪室をカット
ナースコールやセンサー検知があるとスタッフのスマートフォンに居室の状況がリアルタイム映像で届きます。利用者の状態を映像で確認できるので、安全に問題がなければドアを開けて安眠を妨げなくても、「そっと見守る」ケアが可能になります。
・他社製の各種センサーとの連携に対応
Vi-nurseは、見守りカメラだけでなく、他社製の各種センサーや見守り機器との連携にも対応しています。カメラによる見守りに加えて、利用者の状態や施設の環境に合わせてさまざまな機器を組み合わせることで、より柔軟な見守り環境を構築できます。
利用者のプライバシーや尊厳に配慮しながら、介護スタッフの巡回負担を軽減し、異変の早期発見につなげられる点も、Vi-nurseの特徴です。
利用者の「プライバシーという尊厳」を守り、介護スタッフの巡回負担を減らし、事故を未然に防ぐ。Vi-nurseは人間の尊厳を大切にした質の高いチームケアを実現するための強力なインフラとなります。
プライバシーに配慮した見守り環境の構築や、最新ナースコールシステムの導入をご検討の施設様は下記バナーをクリックして、見守りカメラの活用方法や導入のポイントをまとめたご提案資料を無料ダウンロードしてみてください。

監修
伊藤 亜記

株式会社ねこの手 代表取締役。介護コンサルタント。介護福祉士、社会福祉主事、レクリエーションインストラクター。短大卒業後、大手出版社勤務を経て、祖父母の介護・看取りを機に福祉の道へ。介護福祉士を取得後、現場や施設長代行、大手介護会社支店長を経験し、介護コンサルタント「株式会社ねこの手」を設立。現在は介護関連サービスの企画運営、執筆、監修、テレビ出演など幅広く活動。年間200回超の講演・セミナーを行い、医療・福祉法人や大手介護会社のコンサルタントも多数務める。

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