自立支援を支えるIoTセンサー! BPSDを捉えるナースコールが業務効率化を推進

医療や介護の現場では、介助を受けることを心理的な負担と感じる方がいます。介護施設に入所しながらも、できるだけお世話をかけたくないという高齢者の気持ちに寄り添う介護を実現するために、IoT技術が支援します。さりげない見守りと適切な介助をサポートするIoTセンサーとナースコールシステムの連携が進んでいます。また、入所者の見守りができるカメラとの連携で認知症の周辺症状(BPSD)を捉えることも可能です。入所者に寄り添う見守りのあり方と設備のリニューアルの際に検討したいナースコールシステムについてお話しします。

 

自立支援を望む入所者の心理に寄り添う設備とは

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一般的には介護という言葉の意味は「お世話する、介抱する」になりますが、介護保険制度では、自立支援が基本的な考え方とされています。自立支援を目的に介護することを自立支援介護といいますが、これは、できる限り自立して生活ができるように高齢者や障害者のサポートをすることです。

ここでいう「自立」についての明らかな判断基準はありませんが、できるだけ自分の意思や力で毎日の生活に必要な動作を行うことといえるでしょう。介護者はその手助けをすることになりますが、このとき非常に大切になるのが、介護される人が自分の意思によって行動することです。これは、自分らしい生活を送ることの基本です。どうサポートするかを介護する側がすべて決めてしまい、一方的に押しつけるようでは自立支援にはなりません。

とはいえ、例えば、ある高齢者が「自力でトイレに移動したい」という明確な意思を持っていても、そのためにどんなサポートが必要かは本人だけで判断するのはむずかしいものです。特に自立志向の強い人は最低限必要なサポートを自分から求めようとしないこともあるでしょう。また、トイレや着替えなど非常にプライベートな動作については、自尊心やプライバシーについての考え方から、必要な介助であっても自分からはお願いしづらいという高齢者は少なくないと思われます。

多くの高齢者施設では、ナースコールが設置されています。しかし、以上のような理由から、また、「わざわざ呼びつけるのは申し訳ない」、「なんだか忙しそう」といった遠慮や気後れから、ナースコールを押してスタッフに介助を依頼するのをためらう入所者も多いのではないでしょうか。そうであっても、入所者が無理に自分だけで動こうとするのは、転倒などの事故をまねきかねず非常に危険です。

 

BPSDを捉える? 変化する入所者のライフステージ

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自分でできることは自分でするよう促すのが自立支援の基本ですが、そのためには、本人の意思を尊重しながらも、必要なサポートを適切に提供することが欠かせません。その基本になるのが見守りです。プライバシーに配慮しながら、きめ細かく見守り、必要に応じ介助することができれば、入所者は「自分らしい生活」を送ることができるでしょう。

そのために欠かせないのが「さりげなく、きめ細かい見守り」ですが、これをマンパワーだけで行うのは困難です。そこで、検討したいのが、ナースコールとIoTセンサーやネットワークカメラとの連携による支援です。これまでナースコールといえば、入所者など手助けが必要な側から呼び出すというものでしたが、「 Vi-nurse(ビーナース)」は介護スタッフ側からの見守り機能がプラスできる次世代型ナースコールです。

例えば、IoTセンサーシステムと連携することで、入所者のベッドからの起き上がりや離床の動きをセンサーが検知し介護スタッフを呼び出すことができます。入所者がみずから呼び出すことをしなくても、スタッフがさりげなく寄り添い、必要に応じて手助けすることが可能です。また、センサーによる見守りなら、見られていることを意識させないので、プライバシーへの配慮もされています。

このような設備も活用した自立支援により、入所者の求める「自分らしい生活」を実現することは、施設にとっても利用者にとっても素晴らしいホスピタリティのあり方です。しかし、時間の経過とともに入所者の状態が変化することも事実です。認知症の発症や身体機能の低下など状況によっては、カメラを使った見守りに移行する方がよいケースもあります。映像解析により、入所者のBPSDを早期に捉え、対策を打つことができるかもしれません。

 

入所者と介護者に寄り添う柔軟性のあるナースコールシステム

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BPSDとは、認知症の周辺症状のことです。認知症の症状には、脳へのダメージによって起こる記憶障害などの中核症状と、中核症状を背景に心身の状態や生活環境などの要因がからみあって起きる二次的な周辺症状(BPSD)に分けられます。BPSDは、不眠や徘徊、多動、異食、不潔行為、暴言・暴力などの行動変化としてあらわれることが多く、BPSDによる行動変化は行動障害と呼ばれます。

BPSDのあらわれ方は人によってさまざまで、ほとんど症状のないケースもあります。BPSDによる行動障害は周囲から予測することが困難で、危険をともなうことも多く、介護する側にとっては負担も増大してしまいます。その一方で、早いうちから適切にケアをすれば症状を軽くすることが可能です。

センサーによる見守りでも、離床の多さから不眠や多動といったBPSDをある程度捉えることはできますが、異食や不潔行為などを知ることはむずかしいものです。介護する側としては、BPSDのある人や疑われる人にはより踏み込んだ見守りが必要で、危険を回避するためにもカメラを活用した見守り方が考えられます。「 Vi-nurse(ビーナース)」なら、利用者のこのようなライフステージの変化に合わせて見守りの仕方を柔軟に切り替えることが可能です。具体的には、センサーが搭載されたカメラにより入所者の起き上がりや離床を検知してナースコールでお知らせすることも可能となっています。見守り強化のための介護スタッフの負担も少なく、入所者と介護者双方に寄り添うナースコールシステムといえます。

 

入所者にも介助者にも優しいテクノロジーの進化

入所者は、自立支援を受けながらもできるだけ長く「自分らしい人生」を送りたい。でも、介護側は、危険防止の観点から、また、BPSDが顕在化する前に症状の進行予防のためにも、見守りを強化したい。これをマンパワーだけで実現するのはスタッフにとって大きな負担です。入所者のライフステージの変化に寄り添い、フレキシブルにシステムを組み替えられるナースコールシステムこそが、新時代の介護施設に求められています。

誰もがテクノロジーの恩恵を受けられる時代。新時代のナースコールシステムは、自分らしい人生を送りたい高齢者と、自立支援介護とワークライフバランスを両立したい介護側の双方に、あらたな希望をもたらすテクノロジーのひとつです。

 

 

 

 

 

 

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