高齢者への共感を示す傾聴スキルでホスピタリティの向上を

コミュニケーションは人間関係を築き、維持していくためのカギとなるもの。良好な人間関係づくりに役立つのが、共感を示すコミュニケーションのスキル、『傾聴』です。

 

介護の現場でより良いホスピタリティを実現するためには利用者とスタッフの信頼関係が大切ですが、スタッフが傾聴スキルを身につけることでホスピタリティの向上が望めます。

 

コミュニケーションスキルのひとつである『傾聴』とはどのようなものか。

また、介護現場で傾聴をする際の注意ポイントや、傾聴のメリットについてお伝えします。

 

 

傾聴とは? 利用者に寄り添うために

傾聴とはカウンセリング手法のひとつです。

単に話を聞くだけではなく相手の気持ちに寄り添い、丁寧に耳を傾けて話を聞くことでその人をよく理解しようとするものです。

 

傾聴のスキルはカウンセリングやコーチングの分野でよく使われてきましたが、人の支援が業務である介護の現場でも活用されています。

 

介護現場で重要とされるホスピタリティは、利用者とスタッフの信頼関係があって成立するものです。

信頼関係は、心を開いて素直に話ができる関係性の上に成り立ちます。そのためには、利用者の気持ちに寄り添い、話を聞く姿勢は欠かせません。

利用者とのより良い関係を目指す傾聴は、ホスピタリティの基本ともいえるでしょう。

 

 

介護現場における傾聴で注意するべきことは?

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介護現場での傾聴は、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?

基本的なポイントを紹介します。

 

話し手を否定しない

まず大切なのが、相手の話や感情を否定しないことです。

話のつじつまが合わなかったり、間違っていると思うことがあっても、「でも…」「それは違うのでは」などと否定したり、批判したりしてはいけません。

 

大切なのは、話の内容そのものや事実関係よりも、話し手の気持ちを受容することです。

相手が話すとおりに受け止め、気持ちに寄り添うことを目指します。

 

話の途中で割り込んだり、さえぎったりしない

相手が話している間は横やりを入れたりせずに、ひととおり話し終えるまで聞くようにしましょう。

話がとぎれたときは無理に会話を続けるのではなく、相手から話が出てくるのを待ちます。何も話さなくてもひと時を一緒に過ごすだけで、安心感を得られることもあるのです。

 

相手を受容し、共感を示す

話し手の気持ちに寄り添いながら、話を肯定的に聞きます。

話し手の立場を思いやり「それはご苦労されましたね」など、共感していることを示しましょう。

 

ただし、相手に全面的に感情移入する必要はありません。

また、簡単に「お気持ち、わかります」と言ってしまうのも、かえって不信感を抱かせるケースがあります。

共感していることを伝えるには「つらいですね」「悲しかったでしょう」など、話し手の感情を言語化するとよいでしょう。

 

程よい距離感を保ち、寄り添う

傾聴には共感の姿勢が欠かせませんが、話し手との距離が近くなり過ぎるのはよくありません。

信頼感から利用者さんが悩みなどを打ち明けてくれても、解決のための具体的なアドバイスなどはしてはいけません。あくまで利用者本人の悩みや問題として、解決法を一緒に探すといった立場で接しましょう。

程よく一定の距離感を保つことが大切です。

 

余裕のある態度で接する

人の話をきちんと聞くには、落ち着いたゆとりのある態度で応じる必要があります。

時間的に余裕のない状態で、どうしてもイライラした感じが相手に伝わるようでは共感することもむずかしくなってしまいます。

話を聞く時間を取るのがむずかしい場合はその旨を伝え、別の機会を設けたり、他のスタッフに交代してもらうなど、対応を工夫しましょう。

 

 

介護現場で期待できる傾聴のメリット

傾聴は相手を受容し共感を示すコミュケーション手法であることから、話をした人のストレスや悩みを軽くできる効果が期待できます。

また、自分の思いを否定されずに話を聞いてもらうことは、その人の自己肯定感を高めることにもつながるのです。

 

介護現場のスタッフが傾聴スキルを身につけ実践することで、利用者にとっては自分の気持ちに寄り添って話を聞いてくれる人がいるという安心感につながります。

特に介護が必要な高齢者の場合、以前よりも活動や交友の範囲が狭まるため、世間とのつながりが希薄になったと感じる人は多いものです。

だからこそ自身の思いを率直に話せ、きちんと聞いてもらえるということは、生きがいや自己肯定感を維持する上でも非常に大切なことなのです。

スタッフの傾聴が実践されていれば、そこは利用者にとって心地よく安心できる場所になります。

 

このように、傾聴はスタッフとの信頼関係の土台づくりになるものです。

利用者がスタッフを信頼し心を開いて話すことができるようになれば、より適切に利用者のニーズを汲み取ることができるため、ホスピタリティの向上が期待されます。

 

 

傾聴で利用者とスタッフの信頼関係づくりを

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介護の質に直結するホスピタリティを向上させるためには、利用者それぞれのニーズや希望を適切に汲み取ることが欠かせません。

そのためには、利用者がスタッフを信頼して話ができる環境づくりが大切です。

利用者に寄り添うコミュニケーション手法『傾聴』は、その基本となるものです。

 

 

 

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