認知症のお年寄りに効果が!アニマルセラピーとは?

犬や猫の姿を見て、思わず笑顔になってしまう瞬間はありませんか? 遠くから見ているだけでも優しい気持ちになりますね。触れ合えば、動物の暖かさを肌で感じ、とても落ち着いた気分になります。犬の散歩をしていると、高齢者や子どもに「ちょっと触ってもいいですか」と声をかけられることは珍しくありません。「この動物のぬくもりがいいのよね」と笑顔になる高齢者もいます。ちまたで「猫カフェ」が人気なのもよく理解できますね。

このように、動物が人間に与える癒し効果は広く知られているところですが、その効果を高齢者にもっと感じて欲しいと、近年では老人ホームでアニマルセラピーを取り入れるところが増えています。そもそもアニマルセラピーとは何なのか、どのような効果があるのかについて見てみましょう。

認知症のお年寄りが、犬と触れ合うことで笑顔に!

アニマルセラピー(日本語では「動物介在療法」)は、動物との触れ合いを通じて治療をするリハビリテーションを指します。認知症の人や、脳卒中・脳出血の後遺症で感情のコントロールが難しい人に用いられることがあります。

このアニマルセラピーの代表格とされているのがドッグセラピーです。アニマルセラピストと呼ばれる専門家のもとできちんと訓練されたセラピー犬とともにセラピーが行われます。

ドッグセラピーの効果はどこにあるのでしょう。まず、犬と触れ合うことで、単純に「楽しい」という気持ちが起こります。ワクワクした気持ちで、気分が明るくなり、前向きになれます。また、犬を話題にすることで、まわりとコミュニケーションをとるようになる人もいます。認知症の方は、とかく会話をすることを避け、うつ状態になりがちですが、犬と触れ合うことによって精神的に安定し、笑顔を取り戻すことがわかってきています。

犬の世話を通じて、リハビリ効果も

ドッグセラピーでは、通常2通りのプログラムが実施されています。1つは犬と遊んだり、抱っこやなでたりして触れ合う方法、もう1つは、ごはんをあげたり散歩をしたりなどの、犬の世話をする方法です。前者は、主に精神的な効果が期待できます。後者では、実際に具体的な世話をすることによって、よりいっそう犬をいとおしく思うようになり、「もっと世話をしてあげたい」という使命感が生まれる効果をねらいます。特に認知症の方は、「犬の世話をする」という使命感によって、うつ状態や無気力が改善されるといわれています。また、犬と一緒に散歩をすることで、足腰の筋力がアップします。リハビリが必要な方は「犬と一緒に散歩をしたい」という気持ちを持つことで、リハビリを頑張るようになることもあるようです。

ペットと入居できる老人ホームも登場。保護犬や保護猫との触れ合いも

最近では、犬や猫と一緒に入居できる老人ホームもできています。老人ホームに入居しなければならない状況になったときに、家族同然に暮らしてきた犬や猫を手放すつらさは、はかりしれないものがあります。このつらさをきっかけに、精神的に不安定になったりすることもあるようです。したがって、最後まで一緒に愛犬、愛猫と過ごしたいと願う人たちの気持ちに寄り添った老人ホームの存在は、とても心強いものになります。

それだけではなく、飼い主が亡くなって取り残された犬や猫、殺処分寸前だった犬や猫を引きとり、老人ホーム全体で面倒を見る取り組みも行われています。最近では、福島の原発事故により取り残されていた犬や猫たちを引き取る活動もしているようです。老人ホーム全体で犬や猫に触れ合い世話をすることで、入居者である高齢者は穏やかな気持ちになり、精神的に安定するというメリットが期待できるのです。

動物が人間にもたらす多くのメリット

太古の昔から、犬や猫は人間の良き相棒として親しまれてきました。有名な古典文学でも、動物との触れ合いを描いたものがあります。現代では、動物たちが私たちに与えてくれる癒し効果だけでなく、医学的にも触れ合うメリットがあることがわかってきました。動物がふりまく屈託のない表情や態度は、誰にでも受け入れられるのでしょう。代表的なドッグセラピーに、今後注目していきたいですね。

参考:

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