介護業務改善
「ナースコールは申し訳ない」と必要時にも押せない利用者にはどう対応したらいい?
「ナースコールは申し訳ない」と感じる利用者の心理

利用者がナースコールを押すのをためらうのは、遠慮がちといった単なる性格的なものではない場合があります。背景として考えられる幾つかの要素を解説します。
1. 職員の忙しそうな様子と過去のトラウマ
介護施設で廊下をバタバタと走るスタッフの姿や、スタッフステーションで慌ただしく作業する様子を日々見ていると、「今呼んだら邪魔をしてしまう」と気を遣ってしまうものです。
また、過去にナースコールを押した時、かなり待たされたことがある場合や、訪室した職員に不機嫌な対応をされた、「ちょっと待ってくださいね」と強く言われた、などの経験をしていると、ナースコールを押すこと自体に恐怖や罪悪感を抱くようになります。
2. 排泄などプライベートな介助への遠慮
排泄介助やオムツ交換、衣類の着脱といった人に頼みにくい介助をしてほしい時は、とりわけ「ナース コールを押すのは申し訳ない」という心理が強く働きます。「排泄のお世話までさせて申し訳ない」という遠慮が我慢を生んでしまうのです。
3. 羞恥心や認知症に伴う心理的影響
尿もれなどを誰にも知られたくないという強い羞恥心から、あえてナースコールを押さずに自力で対応しようとする方もいます。
また、「ナースコールの使い方やボタンの場所がわからない」「そのことを人に聞くのが恥ずかしい」という心理が隠れている場合もあります。特に軽度認知症(MCI)や認知症の初期段階にある利用者の中にはこうしたケースが見られます。
利用者が遠慮してナースコールを押さないことで生まれるリスク

利用者の「遠慮」をそのままにしておくと、施設運営やケアの現場で非常に危険な事態を引き起こす場合があります。
1. 転倒・転落などの重大な事故
トイレに行こうとしてナースコールを押さずに自力で立ち上がり、足元のふらつきから転倒・骨折してしまうケースは後を絶ちません。介護の現場でナースコールを押さないことによって起こる転倒は最も防止すべきリスクの一つです。
2. 体調の変化や症状悪化の遅れ
痛みや息苦しさ、発熱などの体調変化を「たいしたことはない」と我慢し、ナースコールを押さずにいると発見や処置が遅れ、最悪の場合は命に関わる急変につながる恐れがあります。
3. 意欲低下と生活の質(QOL)の悪化
「どうせすぐには来てくれない」「自分は後回しでいい」と、我慢を重ねているうちに諦めの気持ちが習慣化してしまいます。自分の意思を主張しなくなると、リハビリや離床に対する意欲、生活の質(QOL)そのものが著しく低下してしまいます。
ナースコールを押しやすい空気にする声かけと関わり方

では、どうすれば「ナースコールへの抵抗感」を減らせるでしょうか。それには日頃のコミュニケーションと関わり方を工夫することが不可欠です。ナースコールが鳴った時の効果的な声かけ例をご紹介します。
1.押してよい場面を「具体的に」伝える
「何かあったら呼んでくださいね」と伝えると、遠慮がちな利用者は「何か」のハードルを上げてしまいます。押してほしい状況を具体的に伝え、このような遠慮を和らげましょう。
効果的な声かけ:
「トイレに行きたくなったら我慢せずに、いつでもボタンを押してくださいね」
「少しでも足元がふらついたり、お膝が痛かったりしたら、すぐにナースコールで教えてください」
2. コールを押したことに対する肯定的なアプローチ
ナースコールが鳴って部屋に入った際、「どうしましたか?」とたずねるよりも、押したことを肯定するアプローチを心がけます。そうすれば利用者に「呼んでも良かった」という安心感を与えることができます。
効果的な声かけ:
「呼んでくださってありがとうございます」
「教えていただけて助かります」
3. 先回りの対応で「押さざるを得ない状況」を減らす
利用者の排泄周期や生活リズム(起床時、食後、就寝前など)を把握し、ナースコールを“押される前“に「トイレに行かれませんか?」と声をかけ、先回り巡回を行います。これにより、利用者がボタンを押す機会そのものを減らせます。
施設として遠慮を減らすための仕組み

スタッフ個人の対応に頼るだけでなく、施設全体の仕組みや体制として「ナースコールへの遠慮」を解消するアプローチも必要です。施設として行える3つの方法をご紹介します。
1. 申し送りやカンファレンスでの情報共有
「〇〇様は、遠慮してコールを押しづらい」「△△さんは、『忙しそうだから』と我慢される傾向がある」といった個別の性格や過去の言動を多職種で共有します。担当者が変わっても同じように配慮できる引き継ぎ体制を作ることが重要です。
2. ナースコールの物理的な位置・形状のチェック
施設内で定期的なアセスメントを行ってナースコールの物理的な位置・形状を以下のようにチェックします。
・常に押しやすい位置(ベッドの脇、手が届く場所)にあるか
・ボタンは手指の力が弱い方でも押しやすい形状か
・認知症の方が「これが呼ぶボタンである」と認識しやすいデザインか
必要に応じてひも状のスイッチやタッチセンサー式などに変更する工夫を施します。
3. 見守り機器・センサーとの組み合わせ
どうしてもナースコールを押せない、あるいは押すことが難しい利用者に対しては、ベッドからの起き上がりや離床を自動検知する見守りセンサーを併用します。ナースコールだけに頼らない重層的な見守り体制を整えることが安心につながります。
さまざまな情報を見える化するナースコールの導入を

「ナースコールを押すのが申し訳ない」という利用者の不安を解消すると同時に現場の負担軽減や事故防止を実現するには、高度な情報連携を可能にするナースコールシステムを導入することが効果的です。
そこでおすすめしたいのが、アイホン株式会社のナースコールシステム「Vi-nurse(ビーナース)」です。
Vi-nurse(ビーナース)が「遠慮しがちな利用者」の課題を解決する理由
Vi-nurseは単に音で呼び出しを知らせる従来のナースコールと異なり、多彩な情報と機器を連携させて「現場の状況を見える化」する先進のコミュニケーションシステムです。
・ナースコールの履歴・利用者の特性を「スマートフォン端末」に表示
Vi-nurseはスタッフが持ち歩くハンディナース(スマートフォン端末)と連動して呼び出しの際、利用者の情報や注意点を画面上に表示します。これにより、訪室前に利用者の特性が把握できるため、最初から「呼んでくださりありがとうございます!」などと、温かい対応がしやすくなる状況をつくり出すことができます。
・見守りカメラ・センサーとのスムーズな連動
利用者がベッドから立ち上がろうとした際に、連動した見守りセンサーやカメラが反応し、スタッフの端末へ即座に通知とリアルタイムの映像を届けます。コールを押せない利用者が無理をする前に、先回りして駆けつけることができます。
・訪室前の映像確認で「お待たせする不安」を軽減
呼び出しがあった際にスマートフォン端末から居室の映像を確認できるので緊急度に応じた対応が可能です。「今すぐ行くべきか」「後からでも大丈夫か」など状況に応じた対応につなげられることができるので、不要な訪室を減らせる一方でケアが必要な利用者の元には迅速に駆けつけることができます。
・「音」と「映像」による迅速なレスポンスで信頼感を醸成
ナースコールを押したあと、スピーディに優しく対応してもらえると、「呼んだら迷惑かも」という思いや遠慮が次第に薄れていき、必要な時に安心してナースコールを押せる信頼関係が育まれます。
利用者にありがちな「ナースコールは申し訳ない」という遠慮は、ケアする側の配慮と最新システムの導入で解消できます。Vi-nurseの導入は現場の業務効率化と介護スタッフの負担を軽減するだけでなく、利用者が安心して過ごせる環境づくりにも貢献します。
利用者の安心と安全を守って質の高いチームケアを実現するため、ナースコールシステムの導入にご興味のある施設様は、ぜひナースコールシステム Vi-nurse(ビーナース)詳細ページをご確認ください。
▶ Vi-nurse(ビーナース)で介護施設の課題を解決する
監修
伊藤 亜記

株式会社ねこの手 代表取締役。介護コンサルタント。介護福祉士、社会福祉主事、レクリエーションインストラクター。短大卒業後、大手出版社勤務を経て、祖父母の介護・看取りを機に福祉の道へ。介護福祉士を取得後、現場や施設長代行、大手介護会社支店長を経験し、介護コンサルタント「株式会社ねこの手」を設立。現在は介護関連サービスの企画運営、執筆、監修、テレビ出演など幅広く活動。年間200回超の講演・セミナーを行い、医療・福祉法人や大手介護会社のコンサルタントも多数務める。

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