2025/11/13

介護業務改善

介護施設に見守りカメラは必要？導入メリットや注意点を徹底解説

介護施設では、転倒や転落といった事故が日常的に発生するリスクを抱えています。従来は巡回や声かけによって安全を確保してきましたが、人手不足や夜間の少人数体制では限界があり、職員の負担も大きくなっています。

万が一事故が起きた場合には家族への説明責任や施設の信頼性にも直結するため、より確実で効率的な見守りの仕組みが求められています。

そこで注目されているのが見守りカメラです。異変検知や事故前後の映像記録、夜間でも確認できる低照度対応など、多くの機能によって現場を支えるツールとして導入が進んでいます。

本記事では、見守りカメラの特長や導入メリット、注意点を解説し、安全と安心を両立する介護現場の方法を紹介します。

▶見守りカメラで高齢者の転倒・転落対策を行う

介護施設で見守りカメラは必要？求められる背景を紹介

介護施設における安全管理の課題は年々複雑化しています。特に、転倒・転落事故は頻発しており、従来の巡回や声かけだけでは限界があります。加えて、人手不足や夜間体制の脆弱さから、職員の努力に依存するだけでは十分に事故を防ぎきれません。事故が起きた際には家族への説明責任が重くのしかかり、施設全体の信頼性に関わる問題へと発展します。

こうした背景から、見守りカメラを活用して事故を未然に防ぎ、早期対応や客観的な証拠の確保が強く求められています。

転倒・転落事故が多い理由と現場の課題

高齢者の多くは筋力低下や認知症、服薬の影響などにより、転倒や転落のリスクが高まっています。介護施設ではこうした要因が重なるため、リスクが日常的に発生しやすいのが現実です。

しかし、現場では職員の気付きに頼った対応が中心で、仕組み化された予防策が不十分な場合が少なくありません。事故が起こるたびに報告や対応に追われ、現場の負担がさらに増えるという悪循環に陥りやすいのも課題です。

見守りカメラは、見逃しと対応が後手に回るという現場特有の問題を解決する一つの手段となります。

人手不足と夜間体制の限界

介護業界では慢性的な人手不足が続いており、特に夜間は少人数で複数の利用者を見守らなければなりません。

職員が巡回している間に別の部屋で事故が発生することもあり、常に全員を見守ることは現実的に不可能です。その結果、転倒・転落のリスクが高い夜間こそ、事故が起こりやすい時間帯となっています。

こうした体制の限界を補う手段として、見守りカメラの導入は有効です。

家族への説明責任と施設の信頼性確保

万が一事故が起きた際、家族への説明は施設の大きな責任となります。しかし、なぜ転倒したのか、本当に見守られていたのかを言葉だけで説明するのは難しく、納得を得られない場合も少なくありません。

その結果、施設への不信感やクレームにつながります。見守りカメラを活用すれば、事故前後の映像を客観的な証拠として示すことができ、家族への説明に説得力を生みます。利用者と家族にとって安心につながるだけでなく、施設の信頼性を高める取り組みとしても大きな意味があります。

▶見守りカメラで高齢者の転倒・転落対策を行う

見守りカメラとは？介護現場での役割をわかりやすく解説

介護施設における見守りカメラとは、利用者の安全を守るために設置される見守り支援ツールのことです。
見守りカメラの役割や基本的な仕組みなどをわかりやすく紹介します。

見守りカメラの基本的な仕組み

見守りカメラは、居室に設置し、利用者の様子を映像で確認する仕組みです。多くは専用ネットワークを通じて映像を確認でき、起き上がり、もしくは離床した場合アラート通知を受け取れるようになっています。
録画機能が搭載されていれば、事故が起こる前後の映像を保存して振り返ることも可能です。また、赤外線や低照度対応のカメラであれば、夜間の暗い環境でも利用者の行動を把握できます。従来の定時巡回では見逃してしまう一瞬の行動を補足できる点が、介護現場での大きなメリットです。

介護施設向けカメラに求められる機能

介護施設用の見守りカメラには、一般的な監視カメラとは異なる機能が求められます。特に重要なのは、起き上がりや離床を検知できるセンサー機能です。
利用者がベッドから立ち上がろうとした瞬間を察知し、職員に通知できれば、転倒・転落事故を未然に防げます。
また、プレ録画機能によって事故前後を記録できると、原因分析や家族説明にも活用できます。さらに、夜間の少人数体制を補うため、暗闇でも映像を確認できる低照度対応も必須です。介護現場の課題に直結する機能を備えたカメラこそ、導入の価値があります。

介護施設用見守りカメラの選び方

見守りカメラを選ぶ際には、安全性の確保と職員の負担軽減に直結する機能を重視することが大切です。
具体的には、主に以下の機能が挙げられます。

離床検知
低照度撮影
簡単な操作
プレ録画

さらに、プライバシーへの配慮や利用者家族への説明のしやすさも選定基準となります。価格だけで比較するのではなく、現場の課題解決につながる機能を備えた製品を選ぶことが失敗しない導入のポイントです。

介護施設用見守りカメラの補助金

見守りカメラの導入には一定の費用がかかりますが、自治体や国の補助金制度を利用できる場合があります。

例えば、介護テクノロジー導入支援事業やICT（情報通信技術）化推進のための補助金が対象となり、機器購入費や設置費用の一部をカバーできる場合があります。
参考：介護テクノロジー導入支援事業｜厚生労働省

申請には導入目的や効果の見込みを示す資料が必要となることが多く、施設運営者が主体的に計画を立てることが求められます。補助金を活用すれば初期負担を軽減できるため、費用面で導入をためらっている施設にとって大きな後押しになります。

▶見守りカメラで高齢者の転倒・転落対策を行う

見守りカメラを導入するメリット4選

介護施設での転倒・転落事故を防ぐために、見守りカメラの導入は効果的な手段です。人手不足や夜間体制の限界を補いながら、利用者と職員双方に安心をもたらす役割を果たします。

ここでは、見守りカメラを導入することで得られる主な4つのメリットを紹介します。

利用者の安全確保と事故防止

見守りカメラの最大のメリットは、利用者の安全確保に直結する点です。従来の巡回ではどうしても見ていない時間が発生しますが、カメラがあれば利用者の行動を把握できます。

特に、離床や起き上がりのタイミングを検知できる機能を備えたカメラなら、職員が駆けつけて事故を未然に防ぐことが可能です。

夜間や少人数体制でも、利用者にとって常に見守られている安心感を提供できるのも大きな強みです。

介護職員の巡回負担軽減と働きやすさ向上

夜間や広い施設では、定時巡回だけでも大きな負担となります。見守りカメラを導入すれば、必要なタイミングだけ駆けつけられるため、職員の無駄な移動や身体的な負担を減らせます。

カメラ映像を活用することで本当に対応が必要な場面を優先的に確認できるため、効率的なケアが可能になります。こうした仕組みは、働きやすさの向上だけでなく、職員の離職防止にもつながります。巡回に追われるのではなく、利用者に寄り添ったケアに時間を割けることが大きなメリットです。

同時に複数の呼出しがあった場合の駆けつける優先順位がつけやすい

介護現場では、同時に複数のナースコールが鳴る場面も珍しくありません。その際、どの利用者への対応を優先すべきか判断に迷うことがあります。

見守りカメラがあれば、映像を確認して転倒のリスクが高い状況か、すぐに駆けつけなければ危険かを判断でき、優先順位を明確につけられます。重大事故につながるリスクを最小限に抑えることができ、職員も安心して行動できます。

限られた人員で効率的に対応できる点は、現場にとって大きな支援となります。

事故前後の映像記録による原因究明と家族説明

万が一事故が発生した場合でも、見守りカメラの映像があれば状況を客観的に振り返ることができます。プレ録画機能を備えていれば、事故直前から直後までを確認できるため、なぜ事故が起きたのかを正確に把握できます。

再発防止のための原因分析に役立つだけでなく、家族への説明にも役立ちます。職員の記憶や報告だけでは納得を得ることが難しい場面でも、映像があれば客観的な根拠として信頼性を高められます。家族に安心感を与え、施設全体の信頼維持にもつながる重要なメリットです。

▶見守りカメラで高齢者の転倒・転落対策を行う

見守りカメラ導入の注意点

見守りカメラは転倒・転落事故の防止や職員の負担軽減に効果的ですが、導入にあたっては注意すべき点もあります。安全と信頼を両立するために、以下のポイントを押さえておきましょう。

プライバシーへの配慮

見守りカメラを設置する際に欠かせないのが、利用者のプライバシーを守る工夫です。常に「監視されている」と感じさせてしまうと、利用者や家族に不安や抵抗感を与える恐れがあります。

そのため、導入時には安全確保を目的としていることを丁寧に説明し、同意を得ることが必要です。居室やトイレといったプライベート空間には設置せず、利用者や家族が安心できる範囲で運用することが望まれます。プライバシーへの配慮は、信頼性を高めるうえで欠かせない視点です。

設置場所の工夫

起き上がり・離床検知の精度確保のため、見守りカメラはベッドの「頭側」上部に、ベッドに対して垂直に設置するのが基本です。前方に遮蔽物を置かず、強い逆光や反射を避け、ベッドの高さに応じてカメラとの距離を調整してください。
ただし、設置数が増えると費用や運用負担も大きくなるため、施設のリスク状況を踏まえたバランスの取れた配置が重要です。カメラの角度を事前に確認し、定期的にチェックすることで、事故防止効果を高めることができます。

カメラに頼りすぎない運用体制づくり

見守りカメラは、あくまで職員の介護を支援する役割であり、全てを任せきりにすることはできません。カメラ映像だけに頼ると、利用者の心理的な変化や細かな生活動作を見落としてしまう可能性があります。

そのため、定期的な巡回や声かけといった人によるケアを併用し、カメラはあくまで安全を支える支援ツールとして位置づけることが重要です。映像を活用した情報共有を行うことで、職員全体の介護力を高める効果も期待できます。

▶見守りカメラで高齢者の転倒・転落対策を行う

見守りカメラを導入した介護施設の事例を紹介

夜間の巡回や複数同時呼び出しへの対応が大きな負担となっていました。呼び出し時に利用者の状況が分からず、現場職員は不安を感じることも多かったといいます。

そこで、見守りカメラとスマートフォンを連動させた仕組みを導入した結果、呼び出しと同時に利用者の映像やベッド番号などが手元で確認できるようになりました。

その結果、駆けつける優先順位をその場で判断でき、業務効率化と安心感の向上を実現しました。

事故前後の映像記録を活用することで原因分析や再発防止にも役立っています。また、録画映像を活用して事故原因の検証を行い、職員研修や家族への説明にも役立てることで、施設全体の信頼性向上につながりました。

▶見守りカメラで高齢者の転倒・転落対策を行う

介護施設見守りカメラの特長

介護施設向けの見守りカメラは、一般的な防犯カメラとは異なり、利用者の安全を守るために特化した機能を備えています。

転倒や転落を未然に防ぐだけでなく、事故発生時の原因究明や家族説明に役立つ仕組みが整えられている点が特徴です。ここでは、介護現場で求められる主要な4つの特長を紹介します。

起き上がり・離床の検知で早期対応が可能

介護施設で最も多い事故の一つが、ベッドからの転倒や離床時の転落です。見守りカメラには、利用者が起き上がったりベッドから離れようとする動きを自動で検知する機能が搭載されており、職員に即座に通知が届きます。

従来の定時巡回では間に合わなかったタイミングでも、早期に駆けつけて事故を未然に防ぐことが可能です。特に、夜間や少人数体制の時間帯において、この機能は利用者の安全を守る大きな支えとなります。

プレ録画で事故の前後を確認し、原因分析に活用

万が一事故が発生した場合でも、プレ録画機能を備えた見守りカメラなら、その直前から直後までの映像を確認できます。なぜ転倒したのか、環境に問題はなかったかといった原因分析が可能になり、再発防止に直結します。

職員の主観的な報告だけでなく、映像という客観的な証拠をもとに家族へ説明できるため、納得感を得やすい点も大きな利点です。

プレ録画は単なる記録ではなく、事故防止と信頼確保の両方に役立つ機能といえます。

夜間・0lx環境でも映像確認できる超低照度対応

介護施設では夜間の事故リスクが高い一方で、照明を落とした暗所での見守りは難しい課題でした。超低照度対応の見守りカメラであれば、光がほとんどない0lx環境でも鮮明な映像を確認できるため、夜間の利用者の様子を把握できます。
従来の赤外線カメラに比べ、より自然な映像で利用者の行動を確認できるため、職員の判断精度も向上します。事故防止だけでなく、働いている職員の心理的な安心にもつながります。

▶見守りカメラで高齢者の転倒・転落対策を行う