外国人技能実習生は介護職員の人材不足の救世主となり得るか?

2017年に新しくなった外国人技能実習制度では、同年11月から介護分野での実習生受け入れが可能になりました。しかし、外国人技能実習生が介護業界に与える影響についてよくわからないと感じている人もいるでしょう。そこで今回は、外国人技能実習生の概要や、実習生が介護業界に与える影響について解説します。

外国人技能実習生とは

外国人技能実習生とは、技術や技能を身に付けるために来日し、働きながら技能や技術を学んでいる外国人のことを指します。実習生が来日のために利用する制度が、外国人技能実習制度です。

2010年7月に施行された改正入管法により、技能実習生は入国直後の講習期間を除いた入国1年目から、日本の企業や個人事業主などの実習実施者と雇用関係を結ぶ「技能実習」の在留資格を得ることができます。技能実習生の在留資格最長期間は5年で、2016年現在、全国に約25万人が在籍しています。

介護分野では、これまで外国人介護士の受け入れはEPA(経済連携協定)によりインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヵ国に限られていました。しかし、2017年の制度改正により介護分野でも技能実習制度が適用されるようになり、さまざまな国からの受け入れが可能となっています。

外国人技能実習生のメリットとデメリットを知ろう

外国人技能実習生を受け入れには、メリットとデメリットがあります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

メリット

外国人技能実習生のメリットには、次の5つがあります。

  • 向上心旺盛な実習生を受け入れることにより企業が活性化する
  • 情報の共有化や相互扶助といった企業文化が育ちやすくなる
  • 技術指導ノウハウが蓄積される
  • 国際貢献ができる
  • 企業の国際展開の足掛かりになる

技能実習生で来日する外国人の多くは、母国の発展に寄与したいという気持ちが強い向上心旺盛な若者です。意欲ある若者が働くことにより企業全体が活性化するほか、社内全体で互いに教え合う風潮が生まれたり、情報の共有化がスムーズになったりするでしょう。また、毎年受け入れを行うことで技能指導のノウハウが蓄積されていきます。技能実習生は帰国後、日本で取得した技術や技能を母国で生かすことで、その国の発展に貢献することから、国際貢献に寄与できる点もメリットのひとつといえます。帰国した技能実習生を通して現地情報を得て、国際展開の足掛かりにすることもできるでしょう。

デメリット

一方、外国人技能実習生デメリットには次の4つが挙げられます。

  • 受け入れ期間を超えての雇用不可
  • 書類が多く手続きが複雑
  • 来日から配属まで数ヵ月かかる
  • 日本人採用よりコストがかかる

介護職種の技能実習生は法律で受け入れ期間が最大5年と決められており、期限を超えての雇用はできません。また、書類の手続きが複雑なうえ、実際に配属されるまで4~6ヵ月と時間がかかる点もデメリットのひとつです。さらに、居住環境の整備、日本語研修の費用など、日本人を採用するよりもコスト面の負担も大きいといえるでしょう。

外国人技能実習生が介護業界に与える影響

2017年11月から外国人技能実習生の対象職種に介護が追加されたことにより、さまざまな国からの受け入れが可能になりました。ただし、介護固有要件を満たす必要があり、ほかの職種に比べると受け入れるためのハードルは高いでしょう。また、母国に介護制度がない国も存在し、介護技術を持ち帰っても活かすところがない可能性があるため、受け入れと併用して海外拠点を作ろうとしている企業も出てきています。

その一方で、コスト面から外国人技能実習制度の活用は難しいとの声もあがっています。今後、介護職の人材不足が若干和らぐ可能性があるかもしれませんが、現時点で介護業界に与える影響は少ないといえるでしょう。

現状では外国人技能実習生が介護業界に与える影響は少ない

外国人技能研修制度による介護人材の受け入れは、介護業界大手のアジア進出に一役買う可能性はあるでしょう。しかし、現状ではコスト面における負担が大きいため、実際に受け入れを行う企業はそう多くないとみられています。規制緩和や具体的な受け入れ目標などが決まらなければ、介護人材の確保に大きな影響はないでしょう。

 

参考:

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