消費税アップで新たな介護職員処遇改善加算もアップする?

2019年10月いよいよ消費税率が現行の8%から10%にアップされる予定です。それをきっかけに安倍内閣では、介護に携わる者の大幅な処遇改善を行う方針を進めるように検討指示しています。2018年9月5日の社会保障審議会介護給付費分科会において、具体的な議論も始まりました。今回は、消費税増税に関連する介護職員の処遇改善事情について見てみましょう。

最新処遇改善プランのポイントとは?

詳細な審議は2018年内に行われるとされています。どのようなものが改善のポイントとして予定されているのでしょうか?

介護保険サービスについて、現状では消費税非課税となっています。しかし、事業所などが物品などを購入した場合には、支払いには消費税が課税されますが、それは利用者や保険者には転嫁できず、事業者の負担になっています。消費税がアップすると、事業者の負担が増加し、職員の人件費の圧迫につながっていくと考えられます。そこで、事業者の負担を補填するため、消費税対応への配慮を含んだ処遇改善が検討されるでしょう。さらに、処遇改善加算の重点箇所、運用の範囲などについても議論されると考えられています。また、「処遇=賃金のアップ」のみばかりではなく、職場環境の改善、労働の質の改善も視野に入れた検討となるようです。

人が足りない!賃金が安い?

団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題に代表されるように、介護業界では介護従事者の確保が大きな問題になっていくと予想されます。

第7期介護保険事業計画では、2020年度に約216万人、いわゆる団塊の世代が後期高齢者になる2025年度には約245万人の介護労働者が必要とされるとしています。現状を分析すると、現在の介護労働力190万人に加え、2020年度時には約26万人、2025年度時点では約55万人の介護人材を新たに確保する必要があるということになります。

しかし、介護業界は人気がなく、介護の仕事に就こうとする人材は常に不足しているのが現状です。大きな理由は、仕事の負荷に対して賃金が安すぎることにあります。介護職員の賃金水準を見てみると、全産業平均に比べて低いレベルで推移しており、看護職などと比べても隔たりがあります。また、介護職員の平均勤続年数が相対的に短く、職場定着率が低いという事実も、介護の仕事の苛酷さを如実に表していると言わざるを得ません。

独り歩きする「介護福祉士月給8万円アップ」という説

安倍内閣では昨年の2017年12月閣議決定で、消費税対応改定時にさらなる介護職員の処遇改善を行う方針を打ちだし、約20万人の勤続年数10年を超える介護福祉士の介護報酬水準を全産業の平均程度にまで引き上げるということで1,000億円の財源の確保を表明しました。

財源確保の額は月額8万円程度の引き上げを算定根拠にしたため、「勤続10年以上の介護福祉士は一律月額8万円賃金アップ」という情報が出回っています。「月額8万円」はあくまでも財源確保のためのモデル試算の数字であり、実際の加算対象、賃金の引き上げ額などは、今後、じっくりと議論、検討されていくものであることを認識しておく必要があります。

その一方で、「一律月額8万円アップ」という短絡的な情報が独り歩きするということは、介護業界の全体の切実な苦悩や行政への早急な具体案への期待を表しているともいえるでしょう。

多職種についても配慮を

別の角度から見た懸念点もあります。現在の処遇改善加算は介護職に限定されているため、介護福祉士以外の介護関連専門職との賃金水準バランスをどうするかについてです。そこで、多職種をも含めて幅広く、柔軟な運用できないかという点が検討ポイントに挙げられています。

この問題については、介護福祉士サイドからの「技能や経験のあるベテラン介護福祉士が、処遇改善を実感できるようにすべき」という意見、医師会サイドからの「現場の事業所レベルで分配の裁量を認めるべき」という意見など、さまざまな声が上がっているのが現状のようです。

賃金だけではなく職場環境の向上も大切

待ったなしで人材確保が必要な介護事業の世界では、就労できる外国人労働者数枠拡大や中高年の再就職スキームなど、多岐にわたる人材確保戦略がすでに始まっていますが、次世代の主力となっていくのはやはり若い人です。多くの若い人を取り入れるためには、介護職というものが、満足できる収入が得られ、なおかつ、やりがいや夢を感じられるものでなければならないでしょう。

平成29年度の介護労働安定センターの調査で判明している介護関係職種の離職理由には、「職場での人間関係」や「勤務する所属事業所等の理念や運営方針への不満」も大きいことがわかっています。また、社会福祉振興・試験センターの平成27年度の調査においても、「業務における体調面、精神面の不安」および「勤務する事業所等の理念や運営方針への不満」は大きな離職理由となっています。

若い世代が働きたいと思える職場環境を、多面的に整備していくことが、介護業界には早急に求められています。政府にも、より本腰を入れた施策を期待したいものです。

 

参考:

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