介護職員としての技能実習生の現況と今後をコロナの影響と併せて解説!

外国人技能実習制度の対象職種に介護職が加わり早4年が経過しました。この間に、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、外国人実習生を取り巻く環境は大きく変化しました。介護職の外国人技能実習生(以降、介護技能実習生)にはどのような変化があり、介護現場においては現在どのような課題があるのでしょうか。

介護技能実習生を取り巻く変化

2017年より、外国人技能実習制度の対象職種に介護職が追加されましたが、その後、介護分野の外国人受け入れに関する要件には変化が見られます。

 

新たな在留資格「特定技能」への移行が可能となった

「特定技能」とは、特定分野に属する技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。技能実習の在留資格は、日本で得た技術を母国に持ち帰り、自国の経済発展に貢献することが目的となるため、技能実習生が対象となる業務以外の職務に従事することはできません。一方で特定技能の在留資格は、外国人労働者として受け入れ、日本の人手不足を補うことを目的としています。そのため、技能実習から特定技能へ在留資格を移行すれば、企業の労働力としてとらえられ、さまざまな業務に従事することが可能になるのです。特定技能には1号と2号の2つの種類がありますが、介護分野で移行できるのは特定技能1号です。

特定技能1号は、「特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」と定義されています。特定技能1号へ移行することで、介護技能実習と組み合わせて最長10年間の在留が可能となりました。

13ヶ月間で介護技能実習生の累計申請件数は7倍、累計認定件数約9倍に

2017年11月から介護技能実習生の受け入れが始まり、2018年12月末から2020年1月末までの間で介護職種の技能実習計画の累計申請件数は、約7倍近くも増加しました。また、累計認定件数も約9倍に増加しました。新型コロナウイルス感染症の流行直前までは、介護技能実習生の申請および認定件数は爆発的に増加しており、介護事業所の受け入れも進んでいたのです。新型コロナウイルス感染症の影響で、介護技能実習生の状況がどうなっていったのかについては後述します。

介護老人福祉施設での受け入れが多い傾向、キャリア支援で継続して働ける環境に

特定技能1号への移行が可能となったことを受けて、介護実習生の受け入れに意欲的となる施設が増加しました。2019年12月から2020年2月に実施された「外国人介護職員受入れ事業所向けアンケート」の調査結果によると、アンケートに回答した593件の施設・事業所のうちでは特に介護老人福祉施設での受け入れが多く、介護実習生全体の46.0%を受け入れていることがわかりました。その次に多かったのは介護老人保健施設であり、11.8%を受け入れていました。

また、これまでは介護技能実習生の受け入れ期間を超えての雇用が禁じられていたため、介護の技術を伝えてはいたものの、キャリアパスについては十分に配慮されていませんでした。しかし、特定技能1号への移行が可能となり、労働力としての雇用が可能になったことで、これまで外国人技能実習生を受け入れるにあたりデメリットとされていた受け入れ期間の問題がなくなり、受け入れやすくなったといえるのです。

外国人技能実習生については「外国人技能実習生は介護職員の人材不足の救世主となり得るか?」もご参照ください。

参考:

新型コロナウイルス感染症は介護技能実習生にどのような影響を与えたか

現在も変異をしながら世界中で猛威を振るっている、新型コロナウイルス感染症。外国人の渡航制限など、日本でもさまざまな政策が打ち出されています。新型コロナウイルス感染症が介護技能実習生に与えた影響は次のふたつです。

 帰国困難者は就労が可能となった

新型コロナウイルス感染症により各国が入国制限を課しているなかで、介護技能実習生の期間を終了しても帰国できなくなった「帰国困難者」が続出しました。これを受けて、出入国在留管理庁が対策を講じ、帰国困難者の同一施設または別施設での一定期間の就労が可能になりました。例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により介護施設から解雇された介護技能実習生を別施設で受け入れる、介護技能実習生から特定技能1号への移行期間中に資料がそろわず移行できなかった場合は、働きながら資料を準備できる体制を整えるなど、柔軟に対応できるようになりました。

新型コロナウイルス感染症の影響は限定的で、外国人介護人材の確保ができている

2010年代より、今後の高齢者人口の増加を見据えて、日本の介護人材不足が叫ばれ続けています。新型コロナウイルス感染症がまん延しているなかでも、高齢者数の増加に待ったはかかりません。そのため、施設側は人材確保のために外国人介護人材を必要としています。

介護技能実習生は、特定技能への移行が可能となったことで長期的に在留できる可能性があります。また、帰国困難時の一時的措置が整えられたことで、帰国困難となった多くの実習生が、引き続き介護技能実習生として、あるいは特定技能へ移行して働くことができました。

新規の介護技能実習生は入国の関係で受け入れのめどが立っていないものの、新型コロナウイルス感染症が蔓延する前から介護技能実習を受けていた介護技能実習生は、コロナ禍以前とほぼ同じ環境を維持できています。

参考:

介護施設側が考える介護技能実習生受け入れにおける課題と対策

最後に、介護施設側が実際に考えている、介護技能実習生受け入れにおける課題と対策について、現場の声も参考にしながら見ていきましょう。

介護技能実習生の受け入れ環境を整えることが最大の課題

介護技能実習生の受け入れに関しては、制度本来の要件に加えて受け入れ体制も決められています。技能実習生 5名につき1名以上 の技能実習指導員を 配置(うち1名以上 は介護福祉士等)することや、 入国時に専門用語や介護の基礎について講習をするなどです。介護技能実習生は、ほかの職種の技能実習生よりも受け入れるハードルが高いともいわれており、受け入れにあたって施設内の環境を整えることが最大の課題となります。例えば、愛知県のある団体では、入国前から就労まで介護技能実習生を支える体制を構築しており、介護技能実習生が日常生活に必要な日本語や生活習慣などを 身につけられるように、地域住民がかかわる仕組みをつくりました。この事例から、介護技能実習を受ける環境だけでなく、生活できる環境を整えながら、現場の介護職員と円滑にコミュニケーションがとれる環境を整えることも大切だといえます。そのためには、一部の上層部で受け入れを決定して、施設側にその後の対応を一任するのではなく、上層部と現場が連携して受け入れ態勢を整えることが必要でしょう。

優良な監理団体を見つける

介護技能実習生が増えたことにより、受け入れ施設側もどのように受け入れればよいか悩むところでしょう。介護業界で技能実習生を受け入れる場合は、ほとんどが団体監理型となります。まずは監理団体を探すことが必要です。

監理団体については、技能実習制度本体の主な要件に加えて、介護分野における要件もあります。これらを満たしていなければ、監理団体として介護技能実習生と介護施設をマッチングさせることはできません。

しかし、介護施設および介護技能実習生の増加にともない、監理団体の需要も増えたため、怪しい監理団体も出現しているのが実情です。賄賂の授受を行っていた、技能実習生から法定外の料金を徴収したという報告もあるようです。

優良な監理団体には5つの要件が設けられています。

  1. 実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制
  2. 技能等の修得等に係る実績
  3. 法令違反・問題の発生状況
  4. 相談、支援体制
  5. 地域社会との共生

また、これに加え介護職種における優良な監理団体の要件として、「介護職種における団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制」や「介護職種 における技能等の修得等に係る実績」などに関する項目が細かく定められています。

受け入れに対する制度や手続きがわからず、介護技能実習生を受け入れたくても受け入れられないという声も上がっています。上述の基準を参考に優良な監理団体を見つけることが、介護技能実習生を安心して受け入れる近道となるといえるでしょう。

参考:

需要も供給も増加!環境を整えて実習生の受け入れを

新型コロナウイルス感染症の蔓延により新規入国希望者は円滑に介護技能実習が行えないなどの影響を受けています。しかし、コロナ禍以前より日本で介護技能実習を受けていた外国人は影響をほとんど受けることなく、むしろ労働力として長期間の滞在も見込めるようになりました。介護技能実習生への需要は高まっていますし、人数は増えなくても1人ひとりが従来より長期間働けるようになり、労働力として供給される総量は増加傾向にあると言えます。意欲的であり、より長く日本で介護を学びたい外国人実習生は、日本の介護現場の戦力として、事業所間で取り合いになる可能性もおおいにあります。

まずは、自施設の環境を整えて受け入れの準備を進め、介護技能実習生を確保してみてはいかがでしょうか。キャリアパスも整備することで、すばらしい戦力としての活躍が期待できるかもしれません。

 


参考:すべて本文中に記載

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