近年注目、高齢者施設における園芸療法とは?

近年、介護業界の学会やイベントのたびに積極的に広報されている園芸療法。たしかに、外に出たり土に触れたりすることはよいことです。しかし、これほどまでに園芸療法が注目されるようになってきたのはなぜなのでしょうか? そこで今回は、園芸療法について詳しく見てみましょう。施設で実施する場合のノウハウについてもあわせてご紹介します。

園芸療法とは?

園芸療法は花と緑の力で人を癒すことを目的とし、作業療法として実施されています。その歴史は意外に古く、18世紀後半から20世紀にかけて、精神障害や知的障害のある人に対して道徳療法のひとつとして用いられてきたとされています。日本では、1900年代初めから精神病院での作業治療、知的障害者たちの養護教育として用いられ、1990年代に入ると、欧米で園芸療法士の資格を取得した人たちによる研修会などが積極的に行われるようになりました。日本では、2008年に日本園芸療法学会が作られ、現在、高齢者施設を中心にリハビリの一環として積極的に用いられています。

園芸療法が高齢者にもたらす効果とは

日本では、高齢者に対して行われることの多い園芸療法ですが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか。

上肢のリハビリ

園芸には、苗や種を植える、水を上げる、間引きをする、収穫をするなどの数多くの作業があります。どのような作業も上肢や指先の運動を必要とするため、よいリハビリになるのです。高齢者は「もう年だから」「今日は疲れているから」との理由でリハビリを拒否しがちですが、楽しく、実生活にも則している園芸療法ならば、意欲的にリハビリに取り組んでくれる場合が多いようです。

認知症やうつ症状の緩和

園芸療法には、精神や脳を刺激する要素が含まれるようです。五感を十分に使うからでしょう。この療法によって認知症やうつ症状が緩和したという報告が多数あがっています。また、高齢者は若いころに畑仕事をしていた人や、年を重ねてから家でガーデニングをしていたという人が非常に多い年代であるため、その懐かしさも脳に良い刺激を与えています。

QOL(生活の質)の向上

施設において日々変わらぬ生活を送っている高齢者には、何の刺激もなく目的もなく過ごしている人が少なくありません。そのようななか、植物は世話次第で毎日違う姿を見せてくれるので、生活によいメリハリを与えてくれます。例えば、部屋に引きこもりきりだった利用者さんが、植物のためにリハビリの時間以外でも積極的に水やりをしたり、観察をしたりといった様子を見せるようになり、目的を持って生活を送れるようになったという事例があります。

園芸療法を実際に始めてみよう!

それでは、施設で園芸療法を始めるにはどうすればいいでしょうか。今回は手軽に、ベランダや室内などの省スペースでも行える方法をご紹介します。

  1. 必要な物品の用意

まずは、園芸用品をひと通りそろえましょう。ホームセンターで簡単に揃いますが、コストを抑えたいという場合には、百円均一ショップでも苗以外の道具はひと通り揃えることができます。

6畳ほどの敷地があれば、ユニット型の菜園を作ることもできますが、なければプランターで十分。むしろ、プランターのほうが利用者さんは手軽に観察できるので、そのほうがよい場合もあるでしょう。

  1. 利用者さんに苗を植えてもらう

車いすの人に合わせてテーブルも用意します。下に新聞紙などを敷き、汚れ防止対策も忘れないようにしましょう。あとは利用者さんが主体的に作業を行うように導きます。作業時間を十分にとっておき、土や植物の感触をゆっくり手に感じてもらえるようにしましょう。

  1. 室内の日の当たるところに置けば完了

あとは室内の日当りのいいところに置いておきましょう。スタッフは、土が乾いているなと感じたときに水をあげるくらいでOKです。利用者さん達が持ち回りで順番を決めて世話をし始めることも珍しくありません。あとは、週に1回ほど時間を作り、みんなで観察をし、間引きや収穫など行っていきましょう。

園芸療法で高齢者に活力を!

園芸療法は広大な土地や敷地がなくても小さなスペースで行うことができます。また、育てるのが簡単な野菜や花でも、高齢者にとっては自分の手で世話をして育つ様子を見ることが大きな喜びとなり、精神的にも大きな効果をもたらします。まずは小さな植物から始めてみてはいかがでしょうか。

 
参考:

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