「改正水防法」が介護施設に与える影響 避難計画作成の義務化について

参議院で「改正水防法」が成立したことで、一部の介護施設に対して洪水などの水災に備えた避難計画作成や訓練が義務付けられました。では、どんな介護施設が改正水防法の対象になるのでしょうか? また、訓練を実施しない施設に対してペナルティはあるのでしょうか?

改正水防法が介護施設に与える影響とは?

「改正水防法」が成立したことで、介護施設にはどのような影響が出るのでしょう。そもそも、なぜ水防法が改正されたのでしょうか。基本的な情報について知っておきましょう。

そもそも改正水防法とは?

「水防法」は、洪水などの水災を軽減するために制定された法律です。

2017年5月12日に参議院本会議で「改正水防法」が成立し、同月19日に公布されました。この法律により、土砂災害警戒区域にある学校や老人福祉施設は、水災に備えた避難計画の作成と訓練の実施を行うよう義務付けられたところから、介護施設にとっても無縁の法律とはいえなくなりました。

なぜ改正水防法が成立したのか?

「改正水防法」が成立した背景には、過去の豪雨災害などが関係しています。2015年9月には関東・東北豪雨、2016年8月には台風10号が発生したため、けが人だけでなく死亡者も出ています。岩手県の要配慮者利用施設では、利用者9人が死亡となりました。

このような水害が起こったときの利用者の逃げ遅れをなくすためにも、各施設で水災対策を強化すべきだと判断されたのです。

また、この法案により「市町村長による水害リスク情報の周知制度」の創設や協議会による「水害対応タイムラインの作成・点検」などが実施されることになりました。これにより、災害情報の共有強化や水害リスク情報の伝達がスムーズになることが期待されます。

つまり、迅速な避難による「逃げ遅れゼロ」や「社会経済被害の最小化」が、改正水防法成立の理由ということです。

対象になる介護施設はどこ?

避難計画や訓練の実施が義務付けられたといっても、すべての介護施設が対象となるわけではありません。上の章で説明したとおり、市町村地域防災計画に定められた施設が対象となります。洪水などの災害に巻き込まれやすい位置にある施設は、市町村に確認しておいたほうがよいでしょう。

国土交通省は、洪水・土砂災害に備えた訓練の実施率を100%にするという目標を掲げており、その期限を2021年度に設定しています。これまでは災害に備えた訓練などを努力義務としていましたが、該当する施設は2021年度を目途に対策を立てる必要があります。

実施しない施設へのペナルティ

土砂災害警戒区域にある介護施設が、義務化された後も避難計画の作成や訓練を行わない場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか?

施設名が公表される可能性も

市町村は、まず義務を果たさない施設に対して指示を出します。いきなりペナルティを受けるわけではありません。しかし、管理者が指示を受けても実施しない場合は、市町村は施設名を公表することができます。

施設名が公表されれば、現在の利用者やその家族が、施設に対して不安を感じるはずです。利用者数の減少や施設の悪評判につながる可能性が出てくるでしょう。何より、利用者が安全・安心に過ごせる環境をつくるためには、早めの対策を心がけたいところです。

連携により「逃げ遅れゼロ」を目指しましょう

とはいえ、すべての対策を介護施設の側で行うわけではありません。市町村からの情報を受けて対応するなど、地域社会と連携しながら対策を行うことが求められています。

いざというときのために避難計画の見直しを

避難計画の作成や訓練は、今まで努力義務とされてきました。しかし、過去の事故を受けて2017年に改正水防法が成立し、今や危険度の高い地区にある介護施設は対応を義務付けられています。利用者の安全性の確保は何よりも優先すべきでしょう。対象外の施設も、法律改正を機に、水災に対する避難計画を見直してみてはいかがでしょうか?

 

参考:

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