「JCS」というワードご存知ですか?知っておきたい意識レベル評価の指標

24時間、365日、施設では利用者の方々の健康を管理し守っています。そのような介護の現場で、もしも突然利用者が意識をなくしたら?

もしもの場合には、日ごろから準備している所定のマニュアル、事前に行っている訓練等の手順に沿って冷静に対応することが大切です。そのような状況の下、ときには医師や看護師、あるいは救急隊員に利用者の状態を、迅速かつ的確に伝える必要が生じることがあります。その際に有効活用できる「客観的に傷病者の状態を表現するための指標」をご紹介しましょう。

JCSの意味と役割

その指標が、JCS(Japan Coma Scale=ジャパン・コーマ・スケール)と呼ばれているものです。

意識障害患者の意識レベルを表現する統一の評価指標であるJCSは、病院などで用いられているだけではなく、消防庁の救急隊もプレホスピタルケア(病院前救護)において急病者の意識レベル評価に用いています。

介護施設内で意識を失っている利用者を発見した場合でも、介護スタッフが救急隊員にこのJCS指標を伝えることができれば、救急隊員により迅速に処置してもらえる可能性が高まるでしょう。

下記は日本脳卒中学会の「脳卒中治療ガイドライン2009」を参考にまとめたものです。JCSレベルとは何かを具体的に見ていきましょう。

JCSのスケール

まず意識のレベルを大きくI、II、IIIの3段階に分類します。

I=刺激しなくても覚醒している状態

II=刺激で覚醒するが、刺激をやめると意識がなくなる状態
III=刺激しても意識がなく覚醒しない状態

この3段階の意識レベルをさらに細かく分類し、1ケタ~3ケタの数字にて表します。

I=刺激しなくても覚醒している状態

I-0 :意識がしっかりとある状態

I-1:基本的にしっかり意識があるが、はっきりとしない部分がある

I-2:日付、時刻、今いる場所などが言えない、見当識障害がある

I-3:自分の名前や、生年月日などが言えない

II=刺激で覚醒するが、刺激をやめると意識がなくなる状態

II-10:通常の呼びかけ声で目を開ける

II-20:大声で呼びかけたり、体を揺さぶったりすると目を開ける

II-30:体に痛み刺激を与えながら呼び続けることによってのみ、ようやく開眼する

III=刺激しても意識がなく覚醒しない状態

III-100:痛みの刺激に対して、手で払いのける動作をする

III-200:痛みの刺激に対して、かすかに手などを動かしたり顔をしかめたりする

III-300:痛みの刺激に対してまったく反応しない

アクシデント発生!119番をかける場合は!?

それでは、介護施設内におけるJCSの活用の仕方について、例をあげて考えてみましょう。

施設内の食堂で82歳の男性利用者が急にくずれるように倒れてしまった。そっと近くのソファに寝かせたが、呼びかけにも開眼しない。大声で名前を呼びながら体をそっと揺さぶると、かすかに目を開けたが、すぐに目を閉じてしまう。意識障害があると判断。さて、この場合はどのようなJCSスケール評価になるでしょうか?

答えは「JCSがIIの30」。もしくは「JCS30」という表現でも良いです。

119番に電話をかけ、「救急」であること、施設の住所、傷病者の性別と年齢に加えて、「状態はJSCIIの30と思われます」と伝えると、救急隊の初動処置に大いに役立つでしょう。

日ごろから緊急時に介護スタッフも連携できる準備を

自施設における緊急時のために、介護スタッフが救命蘇生法やAEDの使用手順などと一緒に、意識レベルの評価指標を習得していると利用者や利用者の家族にとって安心感が増すでしょう。

JSCで意識レベルの伝達スムーズにできれば、一刻一秒を争う脳梗塞発症の場合など、救急隊により早く救命措置の準備ができる可能性があります。

JCSで意識レベルを伝える際に、例えば脳への障害の場合、患者のJCSは時間を追ってどんどん変化していってしまう場合もあり、「JCSII-10からII-20に変化しているようです」などのように伝えるアレンジ能力も求められています。不穏の場合はRを、失禁の場合はIを付加して、JCS20RやJCS30Iなどと評価表現する場合もあるそうです。

機会があれば日ごろから連携している医師や看護師の方々のご協力をいただいて、自施設内で研修会を企画するなどの取り組みをしてみてはいかがでしょうか?

 


参考:

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