片麻痺の人も楽しく料理を!ガス会社が「おいしい」共生社会実現を提案

片麻痺の最大の原因となる脳血管疾患の患者は、国内に約118万人もいると推計されています(2014年度調査)。介護の現場にも、脳卒中などによって片麻痺が残る利用者が多くいらっしゃるでしょう。そのような方々の自立支援のために、残存機能を活かして料理などの家事に積極的に取り組んでもらうことは、重要な課題のひとつです。利用者ご本人も、なんとか回復して自分や家族が好きな料理を再び作れるようになりたいと強く願っているケースが少なくありません。

そこで今回は、片麻痺の障がいのために両手が使えない方にも料理ができるようにと開発された、東京ガスのレシピ集「片手でクッキング」をご紹介します。

生活を前向きにするリハビリ、それが「片手でクッキング」

東京ガスでは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた共生社会を実現する取り組みとして、片手でも調理ができるレシピを開発。オールカラー20ページのレシピ集「片手でクッキング」を作成しました。この小冊子は東京ガスのホームページで公開されており、無料でPDFファイルをダウンロードできます。

「片手でクッキング」のレシピ開発にあたっては、脳出血の後遺症で右半身に麻痺がある同社社員らの声を取り入れ、作りやすく食べやすいメニューが選ばれました。さらに、麻痺のある患者さん向けの料理教室を開催する、横浜市総合リハビリテーションセンターの監修を受けているそうです。

健常な人には何でもない、洗う、切る、持つといった調理中の動作は、片麻痺の人にとっては非常に難しく危険が伴う場合があります、そのため、麻痺が残った人は調理することをあきらめてしまうケースが少なくないようです。

「片手でクッキング」にはどんなコツや技がある?公開されたレシピには驚きの創意工夫が

「片手でクッキング」には、片手で料理をするための工夫が紹介されています。その内容を以下で見てみましょう。

  • 野菜をカットするときは、釘付きのまな板やぬれ布巾などで固定する。
  • フライパンや鍋の取っ手は、自分の手や体に引っかからないように横向きにする。
  • 卵はよく洗ってから約30センチの高さからボウルの中に落として割り、殻を取り出す。
  • 缶詰は滑り止めのマットやぬれ布巾の上に置いて安定させ、プルタブを手前に引き上げるようにして起こす。次に缶を180度回転させて、親指で缶を押さえながら人差し指でプルタブを手前に引いて開ける。

小冊子では、失語症や記憶障害などを伴う患者も考慮し、上記の手順がなるべく写真でわかるように掲載されています。

介護の現場で「片手でクッキング」を実践するメリット

「片手でクッキング」に掲載されているレシピは、「野菜とベーコンのスープ」、「おにぎらず」、「ツナとトマトソースのペンネ」、「鶏肉の炭火焼きとグリル野菜」、「アクアパッツァ」などの本格的なものばかりで、食欲をそそる写真が添えられています。また、調理の手順や作業のコツも写真とともにていねいに説明されています。訪問介護の現場はもちろん、施設やデイサービスにおいてもレクリエーションプログラムの一環として活用できそうです。

例えば、講習会を開催してちょっとした工夫で調理ができるという体験をしてもらうのはいかがでしょうか。料理をあきらめていた利用者に、新しい可能性や希望、達成感、前向きな気持ちを感じてもらえるかもしれません。

 

参考:

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