今注目の表現技法「アサーティブ」は介護現場にこそ必要

介護の現場では、さまざまな人とのコミュニケーションが欠かせません。しかし、コミュニケーションのとり方に悩んでいる介護職員は多いのではないでしょうか。近年注目されている「アサーティブ」という表現技法があります。アサーティブを活用したコミュニケーションでは、自分と相手の両方を大切にすることができるといわれています。アサーティブが介護現場で必要な理由とその方法を紹介します。

今注目のコミュニケーション技法「アサーティブ」とは

コミュニケーションの際には、自分の気持ちや意見をさまざまな形で表現することが多いものです。自己表現の方法にはいろいろな種類がありますが、大きく分けると次の3つになります。

  • アグレッシブ

相手の気持ちを考えずに自分だけの考えや主張を通す自分本位な自己表現。

  • ノンアサーティブ

自分の気持ちとは裏腹(うらはら)に、相手の考えや主張ばかりを尊重すること。

  • アサーティブ

自分と相手の両方の気持ちを大切にし、互いの意見や主張を肯定すること。

このうち、自分と相手の双方にメリットがある方法が「アサーティブ」です。

アサーティブを用いたコミュニケーションでは、「対等」「率直」「誠実」「自己責任」を大切にします。

対等とは、相手と対等な立場に立って向かい合う態度をいいます。率直は、自分の気持ちや意見をシンプルにわかりやすく伝えることを指します。誠実は、自分にも相手にも正直な気持ちで向き合うことです。自己責任は、自分の決めたことや結果に責任を持つことを意味しています。

アサーティブなコミュニケーションでは、相手の言いなりになったり、相手のせいにしたりすることなく、自分の意見を大切にしながら相手の考えも尊重します。そのため、よりよい意思疎通を図ることができるのです。アサーティブは、さまざまな企業で対顧客または職員同士のコミュニケーションの場に採用されています。

アサーティブが介護現場に必要な理由

自分と相手の双方の気持ちを大切にするアサーティブは、介護の現場にこそ必要といえます。その理由について、以下に詳しく見ていきましょう。

利用者とのコミュニケーションは対等になりにくい

介護を必要とする利用者の多くは、職員に対して「いつもお世話になっている」という意識が働きやすくなります。そのため、自分の思いや主張があっても職員に遠慮して言えないということも少なくありません。しかし、本来は職員と利用者は対等な立場であるべきです。利用者とのコミュニケーションの場においてアサーティブを活用すると、利用者が対等な立場で発言しやすい関係性を構築でき、よりよいケアにつなげられるでしょう。

職員間のコミュニケーションが円滑に進むかどうかが仕事に影響する

介護の現場では、職員間で利用者の情報を共有し適切な支援を行います。そのため、職員間のコミュニケーションが円滑に行えるかどうかが、仕事に大きな影響を与えます。アサーティブなコミュニケーションでは、互いを尊重することで人間関係が円滑になりやすく、職員同士の関係性に良い影響を与えるでしょう。

多職種連携が必須の介護の現場では対等な関係性が求められる

高齢者の生活を支える場面では、さまざまな専門職や地域の人々と連携して支援を行っています。そのため、それぞれの立場に関係なく対等な関係性を築く必要があります。アサーティブでは、対等な立場で率直な意見を述べる関係性がつくられるため、多方面の人々と対等な関係性を築くことができ、より有益な議論が可能になるでしょう。

介護現場でのアサーティブコミュニケーションに欠かせないDESC法

では、介護現場でアサーティブなコミュニケーションを行うためには、どのようにしたらよいのでしょうか。

アサーティブなコミュニケーションを身に付けるときに活用できるのが、「DESC法」です。相手に伝えたいことを次の4つに整理し、順番どおりに行うことで相手を尊重しながらも自分の意見を伝えることができます。

Describe(描写)

Describeとは描写という意味で、事実を客観的に描写することをいいます。自分がおかれている現在の状況について、「いつ」「どこで」「誰と」「何を」「どのように」というような視点を用いて、相手に理解しやすいように伝えます。

Express(説明)

Expressとは、DESC法では自分の気持ちを説明することを指します。正直に伝えますが、感情的にならないようにすることが大切です。

Specify(提案)

Specifyとは、具体的な解決策や妥協案を提案することを意味します。現実的で、最善と思われる考えや、そのときに実行可能なことを明確に示すとよいでしょう。

Choose(選択)

Chooseは選択という意味です。相手がYesとNoどちらの判断をしたかについて、それぞれに応じた選択肢を考えます。Noの場合には、代替案を提示することも検討しておきましょう。

今日からアサーティブなコミュニケーションを取り入れてみよう

介護の現場でアサーティブなコミュニケーションを取り入れることができれば、利用者や支援に関わるすべての人と対等な関係性を築くことができます。その結果、これまで気づくことができなかった利用者の潜在的なニーズを発見することもあり、よりよい介護につなげることもできるかもしれません。まずは、少しずつアサーティブなコミュニケーションを介護現場に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考:

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