2021年度介護保険制度改正の気になる検討事項を押さえよう

2021年度の介護保険制度改正に向け、さまざまな動きが出てきています。次期介護保険制度改正では、どのような内容が検討されているのでしょうか。議論が始まった次期介護保険制度改正の概要と介護事業者への影響について、詳しく見ていきましょう。

2021年度介護保険制度改正の検討事項とは

2021年度の介護保険制度改正に向け、社会保障審議会や介護保険部会では審議が進められています。今回、検討されているテーマは大きく分けて、次の5つがあります。

介護予防・健康づくりの推進

現代の日本において問題となっているのが、平均寿命と健康寿命の差です。内閣府の「平成30年版高齢者白書」によると、2016年の平均寿命は男性で約81歳、女性で約87歳となっているにも関わらず、健康寿命は男性約72歳、女性で約75歳と大きな開きが出ています。差となっている期間には介護が必要となることが多く、健康寿命をいかに伸ばすかが重要な課題となっているのです。この健康寿命の延伸に向け、介護保険分野では介護予防と保健事業を一体的に実施する「介護・フレイル予防」を行っています。一部自治体ではリハビリ専門職が関与した介護予防を実施しており、このような取り組みを今後どう広げていくかについて検討される予定です。

保険者機能の強化

高齢化が進むなか、これからも介護保険制度を持続していくためには、保険者である自治体の機能を強化する必要があります。今後はデータにもとづく地域課題の分析や適切な指標による評価、インセンティブの付与などが法律により制度化される予定です。また、PDCAサイクルを制度化することも検討課題に挙がっています。

地域包括ケアシステムの推進

国は、団塊世代が全員75歳以上となる2025年度をめどに地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいます。これまでにも、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスが切れ目なく受けられるよう、さまざまな施策を行ってきました。今後も高齢者の多様なニーズに応えるため、介護サービスの提供や整備が進められる予定です。

認知症「共生」「予防」の推進

これまで各自治体では「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」をめざし、認知症サポーターや認知症サポート医の養成、認知症カフェの設置などに取り組んできました。今後は、厚生労働省が中心となって引き続き認知症の人と「共生」できる地域づくりに取り組む予定です。また、早期診断・早期対応の体制を強化していくことで、認知症の発症や進行の「予防」を推進する動きが見られています。

持続可能な制度の再構築、介護現場の革新

介護保険制度を持続可能な制度とするため、これまでにもさまざまな施策が実施されてきました。2021年度の介護保険改正では、介護給付費や利用者の自己負担割合の見直しが検討される予定です。また、介護人材の確保として、処遇改善や外国人材の受け入れなども継続される方向となっています。

2021年度介護保険制度改正で押さえたい3つのポイント

2021年度の介護保険制度改正に向けて、さまざまな検討事項が議論されています。そのなかでも、特に介護事業者に影響が考えられる以下の3つについては、しっかりとポイントを押さえておきましょう。

自己負担額が原則2割に?

現在、介護保険サービスを利用する場合の自己負担額は、収入に応じて1~3割となっています。このうち、全体の約9割が1割負担の対象者です。しかし、今後も少子高齢化が進むことは確実視されており、介護費用も経済の伸びを大きく超えて増加すると見込まれています。また、介護保険サービスを利用する高齢者と介護保険料負担者との均衡をとる必要性もあることから、自己負担額を段階的に引き上げることが検討されているのです。具体的な内容についてはこれから議論が進められる模様です。

ケアプランは自己負担が導入される?

居宅介護に関わるケアマネジメント(居宅介護支援)は、ケアマネジメントの利用を確保する観点からこれまで利用者負担が設定されていませんでした。利用者の自己負担がなかったため、利用者側はケアマネジャーが実施する業務の質をチェックしにくい状況でした。一方で、施設入所者には、基本サービス料や施設サービス計画の策定などに関わる費用を負担する必要があることから、不公平感が生じていました。このような背景から、公平性やケアマネジメントの質の向上を目的として、居宅介護の自己負担額を設定する動きが見られています。

多床室も室料が自己負担に?

2015年の介護保険改正で、在宅と施設の公平性を保つ観点から、特別養護老人ホームの多床室の室料負担が基本サービス費から除外されました。このことにより、利用者は多床室であっても室料を自己負担する仕組みとなっています。しかし、同じ介護保険施設である介護老人保健施設や介護医療院(介護療養病床含む)については、現在も室料相当分が、国が負担する基本サービス費に含まれています。今後も在宅と施設の公平性を保つ必要性があることから、2021年度の介護保険改正でも多床室の室料相当額を自己負担にすべきかどうかの議論が進んでいます。

2021年度の介護保険制度改正では自己負担が大きな争点に

2021年度の介護保険制度改正に向けた議論はまだ始まったばかりです。これから介護保険制度の持続可能性に向けて、さまざまな動きがみられることが予想されます。なかでも、ケアプランや多床室、サービス利用費などの自己負担割合は大きな争点となるでしょう。今後も介護保険改正に向けた動きに注目する必要があります。

 

参考:

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