高齢者の天敵!転倒と骨粗しょう症による骨折を防ごう

高齢者が日常生活のなかで最も気をつけなくてならないことは、転倒によって引き起こされる骨折です。内閣府の「平成28年版高齢社会白書」では、65歳以上の人で介護が必要になった主な原因の12.2%(男性6.0%、女性15.4%)が転倒・骨折であるというデータが発表されています。

また、骨折のなかでも特に多いのが、骨粗しょう症に起因するものです。それまでは自力歩行していた施設の入居者や訪問介護の利用者が、下肢の骨折を機に寝たきりになるケースが多いといわれています。

今回は、骨粗しょう症とそのケアに関する最新情報をお届けします。

骨粗しょう症とは?

骨粗しょう症は、骨の密度や強度が低下する病気です。骨がもろくなり、くしゃみをしたり、つまずいて手をついたりしただけで骨折をしてしまいます。特に骨折しやすい部位としては、背骨や足の付け根、腕の付け根、手首などが挙げられています。

骨粗しょう症の患者さんの80%は女性といわれています。女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがありますが、閉経期になって女性ホルモンの分泌が低下すると、骨密度が急激に低下してしまうためです。

骨粗しょう症を防いで骨の健康を保ち、転倒や骨折から寝たきりにならないようにすることが、健康寿命(男性71.19歳/女性74.21歳・2013年)を維持し伸ばしていくために重要だといえるでしょう。

やっかいな高齢者の大腿骨骨折

骨粗しょう症が引き起こす骨折のなかで最もやっかいなのが、大腿骨骨折です。大腿骨は歩くために最も重要な骨のため、骨折後に歩行が困難になる可能性が高くなります。特に、転子部という足の付け根にあるボール状の関節部分にダメージが生じると、難しい外科手術が必要になります。手術が成功しても数カ月におよぶベッド生活からの回復が必要となり、高齢者にとって大きな負担になるのです。

骨粗しょう症による骨折の予防には、日常生活での心がけが大切です。カルシウム(牛乳や小魚など)、ビタミンD(鮭、しいたけ、卵など)、ビタミンK(納豆、緑黄色野菜など)を積極的に摂取し、無理のない範囲でウォーキングやストレッチ運動を定期的に行いましょう。また、日光に当たることで、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの産生が促されます。運動を兼ねて外出する機会をつくり、適度な日光浴をするようにしてください。

ご存じですか?骨粗しょう症マネージャー

骨粗しょう症の予防・治療の推進に取り組む日本骨粗鬆学会は、骨粗鬆症診療支援サービス(骨粗鬆症リエゾンサービス)の普及を目指しています。そして、このサービスを担うのが、骨粗しょう症に関する知識を有する専門スタッフである骨粗鬆症マネージャーです。

骨粗鬆症マネージャーは日本骨粗鬆学会が認定する資格です。取得にあたっては、以下の要件があります。

  • 日本骨粗鬆学会の会員で、会費を完納している
  • 病院・診療所・介護サービス施設、事業所・薬局・臨床検査センター・自治体・保健所・教育機関などに所属して実際に医療・保健・教育活動に従事し、以下の(1)、(2)のいずれかに該当する
    (1)医師、歯科医師以外の日本骨粗鬆学会の評議員
    (2)介護福祉士、社会福祉士、看護師、管理栄養士、薬剤師、保健師、助産師、理学療法士、臨床工学技士、作業療法士、言語聴覚士、診療放射線技師、臨床検査技師、精神保健福祉士のうち、いずれかの国家資格を有する
  • 日本骨粗鬆学会が実施する骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースを受講している
  • 過去3年以内に、日本骨粗鬆学会の学術集会に参加している

ますます必要とされる現場での転倒骨折リスクマネジメント

今後は介護の現場でも、介護福祉士などが骨粗しょう症治療に積極的に対応する必要が出てくるでしょう。また、大腿骨近位部骨折の85%は転倒が直接的な原因になっています。施設内における転倒リスクの低減も重要です。

介護施設の骨粗しょう症対策に有用と考えられる「骨粗鬆症マネージャー」の資格は、介護スタッフのプラスαのキャリアとしても注目が集まりそうです。自施設の介護スタッフに取得を奨励するのもいいでしょう。

 

参考:

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