「地域ケア会議」がキーになる!?新しい自立支援介護のしくみ

「高齢者の介護予防や状態の改善に取り組み、成果が上がった自治体には交付金を上積みする」。そんな記事が2017年6月21日付の朝日新聞に掲載されました。これは5月に成立した介護保険法などの改正法の一環で、利用者の自立支援をより推進していくという方針がより明確化されたものです。その背景には介護保険財政の悪化という要因があるようですが、この政策推進の鍵を握るのが「地域ケア会議」。今回はクローズアップされた地域ケア会議の役割と現状についてまとめました。

地域ケア会議って何?

地域ケア会議とは、地域の実情にそって、より良い地域包括ケア実現のために課題を的確に把握し、解決していく手段を導き出すための会議です。具体的には、地域包括支援センターにおいて多職種が話し合い、個々の利用者のケアプランをチェック、検討するという目的で開催されるものです。しかし、市区町村によっては定期的に実施されなかったり、実施されていても単なる検討会で終わったりする実情を改善するために、2015年介護保険法の改正によりこの会議の設置運営が努力義務になりました。

介護にかかわるあらゆる職種が参加

地域ケア会議には、自治体職員、包括職員、ケアマネジャー、介護事業者、民生委員、医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、歯科衛生士、リハビリ職、社会福祉士など多くの職種が参加します。必要に応じて、地域住民の代表として民生員、自治会の役員なども参加します。

地域ケア会議には主に下記の5つの機能があるとまとめられています。

  1. 個別課題解決機能

    個別のケースについて課題の解決を行いますが、個別ケースの蓄積から、地域の課題が浮かび上がることもあります。

  2. ネットワーク構築機能

    地域支援者を含む多職種との相互連携のみならず、住民同士のネットワークの構築が行われることがあります。

  3. 地域課題発見機能

    個別ケースに潜在している解決すべき地域課題を見出し、解決の優先順位を検討します。市町村と課題を共有し、政策形成につなげることもあります。

  4. 地域づくり・資源開発機能

    地域の特性に合わせて、必要な資源を掘り起こすこと、あるいは開発することです。地域の見守りネットワークなどがこれにあたります。

  5. 政策形成機能

    既存の施策、予算では課題の解決が困難な場合に、市町村が中心となり、新たな施策の立案、実行につなげていくことを指します。

地域ケア会議が取り組み成果を上げた事例

地域ケア会議の具体的な事例について紹介します。

埼玉県和光市の事例

いち早くこの地域ケア会議の積極的な運営に取り組んできた埼玉県和光市の事例です。膝を手術して筋力が衰え歩行困難になった78歳の女性Aさんは要支援1と認定されました。会議では「ひとりで買い物に行くことを目標にするケアプラン」に意見がまとまり、デイサービスの通所介護でリハビリに励み、約半年後に目標を達成、要介護認定からはずれることになりました。

鹿児島県霧島市の事例

また、鹿児島県霧島市では、「心豊かな支えあいのまち ほっと霧島」を基本理念として掲げ、高齢者の安心・自立を支える包括ケア体制づくりをしています。地域ケア会議は、市内の代表者レベルが集まる「霧島市地域包括ケア会議」、日常生活圏域レベルの「圏域別包括ケア会議」、個別レベルの「地区別包括ケア会議」と、地域の特性にあわせた三層構造になっており、きめ細かな対応を図っています。
例えば、昔のようにグラウンドゴルフをしたいという願いを持つ車椅子使用の高齢者について検討するなど、本人が何を望むのかということを一番に考え、希望を叶えるために多職種で意見を出し合っています。グラウンドゴルフの例では、必要動作の練習としてリハビリ職からの助言を得るなどもして、高齢者の希望の実現に向けて動いています。

これからの地域ケア会議

活動的な地域ケア会議は、介護の本来の目的のひとつである利用者「自立支援」実現のための大きな司令塔であることを意味します。利用者が望まないリハビリを押し付けることにならないか、改善が見込めない利用者たちの気持ちにどう配慮をしていくかなど、利用者の自立支援にはまだ多くの課題があるなか、これからの地域ケア会議に期待されるものは大きいといえるでしょう。

介護の業務改善事例については、こちらでも紹介しています。
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参考:

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