最新機器を使って転倒に関する課題を解決!高齢者の転倒を防ぐ新しい試み

若い世代にとっては問題にならない「転倒」でも、高齢者となると話は別です。予後が悪ければ寝たきりなどになってしまう可能性もあるからです。介護施設においても転倒対策には日頃から頭を悩ませていることが多いのではないでしょうか。

そこで、高齢者の転倒とその対応策をご紹介します。あわせて、現在注目を浴びている新しい転倒防止策についても見ていきましょう。

高齢者の転倒がもたらすもの

高齢者は若い世代に比べて骨がもろく、筋力も少なくなっています。そのため、若い世代ならば「痛かったなあ」とつぶやいて終わるような転び方であっても、高齢者では骨を折ってしまうような大けがにつながることがあります。

転倒によって骨折しやすいところのひとつに大腿骨頸部があります。ちょうど足の付け根にあたる部分です。ここの骨折によって寝たきりになってしまうことはそう珍しくはありません。

厚生労働省が出したデータによれば、「骨折や転倒が原因となって、要介護者になってしまった」としている例が全体の1割以上にのぼります。

特に女性は男性よりもけがや骨折もしやすいとのことですので、注意が必要です。

転倒防止対策

「転倒」によるリスクは昔から知られているため、すでにさまざまな対策が考え出されています。

手すりをつける

転倒防止対策の代表例には、足元が滑りにくくなるマットを敷いたり、手すりをつけたりすることなどが挙げられます。また、何かにつまずいて転ぶことがないように、コード類をまとめたり、小物を片付けたりすることも必要です。

視力の低下にも対処する

視神経の衰えもまた転倒のリスクにつながります。視力検査で、目の状態を把握しておくことは大切です。足元の小物や段差を見落とすことがないように、照明を明るくしたり照明の数を増やしたりすることも考えましょう。

そのほか

周辺環境を整えることと並行して、筋力の衰えを防ぐための運動が必要です。また、常用薬がある場合には、「転倒がしやすくなる」副作用を持つ薬もあるので、薬の見直しを行いましょう。

こんなところもバーチャル感覚?!新しい「バーチャルリアリティ歩行訓練」

上であげた従来型の転倒防止対策に加え、現在では全く新しい対策として、バーチャルリアリティ(以下「VR」)を使った方法も出ています。

VRとは

VRとは、コンピューターを使って仮想的な世界を創りだす技術です。コンピューターによって映像や音楽を提供し、立体感やリアリティをともなった仮想現実を作りだします。VRでは、それをただ「見る」だけでなく、利用者の行動に応じて周囲も変化させていきます。そのため、「現実ではないはずなのに、現実にあるような感覚(仮想現実感)」を味わうことができます。これはゲームなどにも多く取り入れられています。

VRを用いた歩行訓練

ヨーロッパでは、過去6か月以内に転倒したことがある282人の高齢者を対象に、VRを用いた歩行訓練の有効性を調べました。従来型のトレーニングをするグループと、それに加えてVRでのトレーニングをするグループの2つに分けて試験を行った結果、後者のグループにおいて、転倒率が大幅に減ったということがわかりました。訓練期間は6週間でしたが、減少率は42%にも及んだとのことです。VR技術でスクリーン上に映し出された足の動きをリアルタイムに見ることで、高齢者の認知能力や歩行能力が回復したのです。

VRでリハビリへの意欲も向上

また、VRを使ったサービスのなかには、QOLの上昇にもつながるとして着目されているものもあります。VRを用いてさまざまな国の風景を映し出すというものであり、日本でも取り入れられています。VRで世界各地の名所を鑑賞しながら「自分の目で見て、自分の足で歩きたいなあ」と思うことで、リハビリテーションへの意欲も高まるとのことです。

これからの「転倒防止」に寄り添うVR

従来型の転倒防止策に続き、VRを利用した新しい転倒防止策が開発されています。コンピューター技術のもたらす恩恵は、介護の現場にも及んでいるといえるでしょう。

新旧の転倒防止策は決して対立するものではありません。両方の良いところを取り入れて、高齢者の転倒をより効果的に防ぐことができるようにしましょう。

 


参考:

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